トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
宮下かな子と観るキネマのスタアたち第17話

善意か悪意か分からない情報で溢れた世界での“生”を肯定的に捉える『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

善意か悪意か分からない情報で世界は溢れた世界での生を肯定的に捉える『夜空はいつでも最高密度の青色だ』の画像1
イラスト/宮下かな子

 皆さんこんばんは、宮下かな子です。

 猛暑日が続いていますが、体調お変わりなく過ごしているでしょうか。

 最近の宮下は、更に自炊に力を入れて元気に過ごしています。今、自炊がとても楽しい! そのきっかけとなったのが、現在第3話まで放送されている、BSテレビ東京深夜24時放送の「ホメられたい僕の妄想ごはん」。私、深夜帯のグルメドラマが大好きで、中でも自炊系は特に大好物。高杉真宙さん演じる一人暮らしの主人公理生が、仕事終わりにスーパーを物色し、自分が作った夜ご飯を、妄想の女の子と一緒に食べるという設定なんです。

 実は私も、理生がスーパーに買い物に行くと遭遇する女、として出演しています。

 1つの回につきワンシーンのみの出演で、その場でアドリブで演じる役どころだったので、毎度かなり四苦八苦していました。私の出演はほんの少しですが、とにかく自炊心くすぐられるとてもお腹がすくドラマなんです!

 あまり類を見ないシュールな調理シーンの演出と、主人公がスーパーで食材を購入する際、こだわりを持っているところが私のツボ。例えば「干し椎茸特売だけど買わないの?」というレジのおばちゃんに対し「椎茸は国産と決めているんだ!」という心の声だったり。そういうシーンを見ると、スーパーで産地や品質を意識して食材を選ぶのが楽しくなり、理生の真似をして心の声を呟きながら買い物しています。

 更に先日、念願の器屋さんに行って器を購入したことも、自炊の後押しをしてくれています。「作家さんの器を購入するの初めてなんですけど~」と相談すると、とても丁寧に説明してくださり、まずは、使いやすい大きめの丸型の器と、宙吹きガラスの夏らしい小鉢を揃えました。持ち帰ってきた器たちに料理を盛るとあら不思議。いつものパスタが! 朝食のフルーツが! 普通のカレーが! より一層美味しそうに見える! 器一つ一つへの思い入れもあるので、食を通して自宅で贅沢な時間を堪能しています。ドラマに興味を持ってくださった方は是非ご覧ください。

 自分の時間が大好きな私は、相変わらずお家でも楽しく過ごしていますが、マスクで過ごす夏が再びやってきましたね。日中のサウナのような暑さに、この夏乗り切れるのだろうかと、マスクの下の頬を赤らめながら不安に思っています。

 日々、さまざまなニュースや意見が飛び交い、きっと誰もが未来への不安を感じている今。そんな今の状況に問いかけてくれる作品なのではないかと、今回選んだのが石井裕也監督『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2018年 東京テアトル)です。

〈あらすじ〉
 子供の頃母を亡くしていた美香(石橋静香)は、看護師として働く傍ら、夜はガールズバーでアルバイトをしている。東京での生きづらさを感じながらも、模索しながら懸命に生きる彼女。ある日、日雇い労働者の慎二(池松壮亮)と出会い……。

 映画の原作は、2016年に発売され、現代詩としては異例のベストセラーとなった、最果タヒさんの詩集「夜空はいつでも最高密度の青色だ」。最果さんは2006年、最年少記録の21歳で第13回中原中也賞を受賞した注目の新星。

 詩、というと馴染みがないとなかなか接する機会がないのかもしれませんが、最果さんの作品は、日常的に使われる言葉の連なりで構成されているので分かりやすい。私も何冊か手に取ったことがありますが、言葉の陳列が非常に面白く、とめどなく押し寄せてくる、現代を生きる人々の憂鬱や不安や不満、希望が勢いよく吐露されているような印象を受けました。
 全43編の作品から成り立つこの詩集の映像化を試みたのは、石井裕也監督。詩の世界観を汲み取りながら、東京の片隅で懸命に生きる男女の物語が描かれています。

123
ページ上部へ戻る

配給映画