「会社に勤めずに屋根と壁を手に入れている」“プロヒモ”ふみくんが説く、令和の「シン・ヒモ」論
#インタビュー #ヒモ
プロヒモが説く令和の「シン・ヒモ論」
しかし、ふみくんは一般的なヒモと違っているところがある。結果的に食事をおごられたり、何かをプレゼントされたりすることはあるが、自らそれを求めたことはないという。そして、自ら何も差し出さずに女性に寄生し続けているわけではない。
「料理は好きだし、得意ですね。アクアパッツァなんかも作ります。彼女のために、会社で食べる用のお弁当を含めて3食すべてを毎日作ってるし、掃除や洗濯など家事はひと通りやっています。会社までのお見送りとお迎えも毎日しています。それじゃただの主夫じゃないか、というツッコミも聞こえてきますが、自分としては得意なことをやっているだけで、家事を負担する側を性別で区別するのも変だなって思ってて。家事はむしろ好きですし、『会社に勤めずに楽をして屋根と壁を手に入れている』という意味で、“ヒモ”と呼ばれることに合点がいってるんです」
そんなふみくんのライフヒストリーを少し紹介しよう。幼少期には習い事から逃げまくり、「家から近かったから」というスラムダンクの流川楓のような理由で進学した高校の3年時は、朝から最後まで教室にいたのは年間でたった6日ほど。毎日学校をサボってバイト先かジムに行き、プールとサウナに入ってベローチェで自習するという生活を繰り返した。
勉強は嫌いじゃなかったため、早稲田大学人間科学部に進学するも、2時間半という通学時間に耐えられず、初年度の取得単位はたったの「3」。「所沢キャンパスを高田馬場に近づける会」といった珍妙なサークルを主催して少し知られた存在になっても、それを就活に生かすこともなく、社会人経験なしで現在に至っている。
「毎日同じ時間に同じ場所に行って働くことが、とにかく何よりも苦痛で。決して自分から積極的にヒモになろうとしたわけではなくて、嫌なことから逃げてきたらいつの間にかヒモになっていたんです」
嫌なことからは誰だって逃げたい。でも、大多数の人はさまざまな理由があってそれができず、日々自分を消耗する。そんな価値観から解き放たれているふみくんの生き方は、私たちの目にとても興味深く映る。
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