莫大な中国の貯蓄の行方を狙う米国の金融機関
#中国 #アメリカ
米国のチャイメリカ化が加速するのか!?
米国の資産運用会社による現在の中国進出の動きが「チャイメリカ(中華人民共和国化したアメリカを指す十数年前に流行した造語。世界経済に重要な影響を与える密接な米中関係を指す)」の復活につながるかどうかはまだ分からない。こうした動きはアメリカ企業に対してバイデン政権の「熾烈な競争」のビジョンに賛同することを求めるワシントンの政策立案者の仕事を困難にすることは間違いない。
一方で、中国政府はアメリカの金融機関がワシントンの現在の外交政策のタカ派ぶりを和らげてくれることを期待しているだろう。しかし、ウォール街を悪者にするのは有権者受けするし、ブラックロックやゴールドマン・サックスのような金融機関にとっての中国国内の貯蓄と同様に、マルコ・ルビオ、チャック・シューマー(民主党上院議員、上院院内総務)、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)といった超党派の対中国強硬派政治家にとって抗いがたい魅力を持っている。
米金融機関の中国市場への進出で、中国の金融機関は、欧米の専門知識やノウハウの恩恵を受けることは間違いないだろう。 しかし、米国の金融機関が中国において長期的に参入を許されるという考えを疑う理由として、中国の経済自由化の過去の歴史を指摘する懐疑論者も依然存在する。将来、中国の銀行が米国の銀行から独立した形で現地化された資産管理インフラを作り上げて運用することが可能になった場合でも、米国の銀行に出る幕があるだろうか? 用済みとされないだろうか?しかし、うまく立ち回れば、米国の金融機関は、中国の地場銀行が競合商品の提供を開始した後も、自身の評判や実績によって中国人投資家の忠誠心と関心を十分確保することができるかもしれない。言うまでもなく、この新たな機会を活用するというタスクには中国政府に対する絶え間ない賞賛を続けなければならないし、多大な投資と忍耐力が必要となろう。
ウォール街による中国市場に対する大きな期待の最終的な結果がどうなるにせよ、中国政府が、ウォール街が現時点で放つ好意的なメッセージに満足していることは間違いない。アメリカの金融企業はワシントンの主張に関わらず中国経済が魅力的であると十二分に認識している。この姿勢が典型的な「ウィンウィン」であることは間違いないようだ。
待てば海路の日和あり。最終的な勝者は、今の険悪な米中関係の時期をただやり過ごせばよい。ただ待つだけで良いのだ。すれば、果実は間違いなく、目の前に転がってくる。
(参考)
※1 https://www.state.gov/issuance-of-a-hong-kong-business-advisory/?fbclid=IwAR3_Ih6BtT4qataRgkKBbeFVss1DyuXLB4QoXgw1iHKdzRtse41vuZzyug8#.YPbpMpbcC
※2https://data.worldbank.org/indicator/NY.GDS.TOTL.ZS?most_recent_value_desc=false&year_high_desc=true
※3https://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt
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