東京農工大学、納豆の抽出液が新型コロナ感染を阻害と発表 進む治療薬研究
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新型コロナウイルスに納豆の抽出液が効果があることが明らかになった。国立東京農工大学が納豆の抽出液が新型コロナウイルスの感染を阻害することを発見した。
国立東京農工大学は7月15日、国立宮崎大学、タカノフーズとの共同研究で、タカノフーズの「すごい納豆S-903」から抽出液が、新型コロナウイルス感染を阻害することを発見したと発表した。
研究の成果は7月13日に国際学術誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」にオンライン掲載された。
この研究は、実験室において培養細胞を用いたもので、「すごい納豆S-903」からの抽出液に新型コロナウイルスを加えたところ、納豆抽出液に含まれる物質が新型コロナウイルス(武漢株)の表面に出ているスパイク蛋白質の受容体結合領域を分解、この結果、新型コロナウイルスへの感染を阻害することを証明しました。
同様の試験管内の実験で、武漢株だけではなく、変異株である英国株(アルファ株)のスパイク蛋白質の受容体結合領域も納豆抽出液により分解されることが確認され、アルファ株にも有効であることが明らかになった。
さらに、納豆抽出液は牛ヘルペスウイルスI型のウイルスの表面糖蛋白質を分解し、培養細胞への感染を阻害することも明らかになった。
同大では、新型コロナウイルスに効果のある物質は、熱処理でウイルスの蛋白質を分解できなくなることや、蛋白質分解酵素の阻害剤を用いた実験などの結果から、少なくとも蛋白質分解酵素の1つであるセリンプロテアーゼが含まれていると考えている。
同大では、今回の研究は培養細胞を用いた実験であり、「納豆を食べることにより新型コロナウイルスの感染を防ぐことができることを示しているわけではない」としているが、これまで食品の直接的抗ウイルス効果を示された例は少なく、納豆は伝統的な健康食品であり、非常時においても伝統的健康食品の価値が見直されるきっかけになると見ている。
新型コロナウイルスの感染防止などでは、これまでにもさまざまな食品などで“効果がある”という根拠が明確ではない話が流布され、その商品が品切れになったり、ネットなどで高額で売り出されたりしている。
しかし、さまざまな研究が進むに連れて、治療薬などに利用可能な研究結果が出てきている。
例えば、「新型コロナにiPS細胞が効果―京大と理研の研究グループが発表 政府はさらなる支援を」で取り上げたように、4月7日には京都大学iPS細胞研究所と理化学研究所を中心とした研究グループがヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いることで、既存薬剤のウイルス抑制効果を実験。
結果、新型コロナウイルスとエボラウイルスに対して抗ウイルス作用を持つ薬剤を発見したと発表した。
また、「広島大学と京都大学の研究グループ、新型コロナウイルスを無力化する中和抗体作成技術を開発と発表」で取り上げたように、5月には広島大学と京都大学の研究グループが、新型コロナウイルスを無力化する中和抗体を10 日間で作成する技術を国内で初めて開発したと発表した。
広島大学と京都大学の研究グループ、新型コロナウイルスを無力化する中和抗体作成技術を開発と発表
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、一つの朗報が届いた。 広島大学と京都大学の研究グループが、新型コロナウイルスを無力化する中和抗体を10 日間で作成する技術を国...この中和抗体である完全ヒト抗体では、新型コロナウイルスの変異株についても無力化できるとしている。
新型コロナウイルスのワクチンが不足し、接種がなかなか進まない状況の中で、こうした新型コロナウイルスの抑制に効果のある新たな発見は、今後の新型コロナウイルス対策に有効な手段となる可能性がある。これらの技術が早く実用化できるように、政府は十分な支援を行っていくべきだ。
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