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【国交省発表】激動2020年の鉄道輸送の実情ー新型コロナの影響だけじゃない、台風に過疎が日本の鉄道に影響

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※イメージ写真(GettyImagesより)

 前回、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大による影響について、旅行関連、飲食関連と並んで、特に大きな影響を受けた交通関係の航空分野の状況を取り上げた。そこで今回は、航空分野と同様に大きな影響を受けた鉄道分野についてまとめた。

 国土交通省の「鉄道輸送統計月報」によると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の鉄道旅客数は176億8174万人と前年度比29.8%という大幅減少となった。2020年1~3月の間に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたため、2019年度も前年度比0.3%減の251億8973万人だった。

 このうちJRは前年度比29.4%減の67億660万人に減少した。2019年度も同0.6%減の95億318万人だった。民間鉄道は同30.0%減の109億7514万人に減少した。2019年度も同0.2%減の156億8655万人だった。

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 航空分野とは違い、鉄道は外国人観光客減少の影響は少ない。旅客数の減少は、ダイレクトに国民のよる利用減が要因だ。政府による緊急事態宣言、不要不急の外出自粛が響き、国内観光客の大幅な減少に加え、特に休校やテレワークの推進、飲食店などへの休業要請などにより外出を自粛したことで、人の動きが大きく減少したことが影響している。

 観光政策の推進などにより、鉄道旅客も順調な増加を続けてきた。しかし、新型コロナが鉄道旅客増加の大きな阻害要因となった。

 鉄道旅客の月別の推移を見ると、最初の緊急事態宣言が出された2020年4、5月に大きく減少している。2020年4月の旅客数は11億6152万人と同1月の21億403万人の約半数にまで激減した。ボトムは、JRは同5月の4億5551万人、民間鉄道は同4月の6億9618万人だった。

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 2020年夏の2回目の緊急事態宣言後に旅客数は回復し始めたものの、2020年12月の新型コロナ2021年3月から旅客数は徐々に回復し始めているが、4回目の緊急事態宣言が出されたことにより、先行きの回復は不透明だ。

 鉄道旅客数の月別の前年同月比を見ると、その影響の大きさは明らかだ。旅客数は2020年4月には前年同月比で45.5%減、5月には46.8%減となっている。JRは同4月が41.7%減、同5月が45.7%減、民間鉄道は同4月が47.8%減、同5月が47.6%減となった。2021年4月に大きく増加しているのは、前年同月にあたる2020年4月に大幅減少した反動だ。

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 鉄道貨物はどうだったのか。航空貨物同様に、鉄道貨物も旅客数ほどではないか、新型コロナの影響を受けた。2019年度は前年度比0.8%増だった貨物量は、2020年度には3912万3532トンと同8.3%減少した。

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 月別の貨物量を見ると、人の動きと同様に1回目の緊急事態宣言が出された後、2020年5月に大きく貨物量が減少し、256万2808トンとなった。その後、貨物量は回復しているものの、概ね、前年同月を下回る状況が続いている。

 鉄道貨物量の月別の前年同月比を見ると、2020年で前年同月を上回ったのは10月の13.6%増だけなのがわかる。それ以外の月は、2020年1月から2021年3月まで前年同月を下回る状況が続いた。

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 特に、2020年5月は前年同月比21.1%と大幅減少となり、2020年4、6、7、8月、2021年1月も前年同月比10%を上回る減少となった。なお、2020年10月が前年同月比で13.6%の増加となっているのは、2019年に発生した台風19号の影響で、不通となっていた鉄道が多くあったことの反動によるもので、貨物量が例年を大きく上回ったためではない。

 新型コロナの感染拡大によって、鉄道も大きな影響を受けた。だが、鉄道は地方の過疎化、人口減少、都市部でも少子高齢化による利用客の減少などにより、旅客数が伸び悩んでいる。こうした状況の中で、新型コロナは鉄道会社の経営にも大きなダメージを与えた。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2021/07/24 06:00
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