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世界は映画を見ていれば大体わかる#13

『ザ・フード ~アメリカ巨大食品メーカー』あのケロッグ誕生のウラで兄弟の骨肉の争いが…!

あのコーンフレーク誕生のウラにあった兄弟の争い

 療養所を経営する医師・ジョン・ケロッグは、医学博士としてエクササイズのルーツになるさまざまな健康法を考案した人物だが、禁欲を提唱することで変人めいた一面もあった。マスターベーションは健康に悪いと言って禁止。その上奥さんがいるのに40年間一度も性交渉しなかった! そんなことしたら逆に体に悪そうな気がするんだけど……。

 ジョンは自身の健康法の実践と患者のための朝食“グラノーラ”のレシピをつくり、療養所で働く弟のウィルに食事の管理をさせた。幼いころから優秀だった兄ジョンに比べて弟ウィルは、遠視というだけで役立たず扱いされ教育の機会すら奪われた。弟を無能扱いしてこき使う兄に不満を募らせていたウィルは、グラノーラを療養所だけでなく一般の家庭にも売ろうとするが、医師が商品の販売をするなど道徳に反するとジョンは頑なに許可を出さない。

 そうしているうちに療養所の患者だったC・W・ポストがグラノーラのレシピを盗み出し、それに砂糖を加えた独自のシリアル“グレープナッツ”を販売して、巨万の富を築く。盗んだレシピでポストが億万長者になっていくのを歯がゆい思いで見ていることしかできないウィルだったが、うっかり一晩放り出してしまっていたグラノーラをローラーで薄く挽くことを思いつく。偶然の産物によって“コーンフレーク”は誕生した。これを商品化すればポストにだって負けない。

 そんなある日、療養所で出火が起き建物は灰と化した。銀行の融資を受けていたウィルは、療養所再建を目論むジョンの前に小切手をチラつかせる。グラノーラのレシピと引き換えに。

「高校も出ていないお前がビジネスで成功するわけない。一年で会社はつぶれる」

 ジョンと袂を別ったウィルはケロッグ・コーンフレークの製造に乗り出し、巨大看板などを利用した大量の広告、宣伝作戦でポストを蹴落とし、シリアル業界の覇者となる。そんな弟の成功をよく思わない兄ジョンは、自分の姓ケロッグを勝手に使っているとしてケロッグ・コーンフレークを訴える。

「兄貴だと思って揉めたくなかったから手を尽くしたのに」
「お前にあるのは私の名だけ。哀れに思っていたがお前はクズだ」

 兄弟の対立は高等裁判所に持ち込まれ、長年に渡る闘争の末、弟ウィルが勝利。自分を無能と詰り続けた兄についに、復讐を果たしたのだ。以後ジョンは表舞台から姿を消した。

 大成功を収めながら決別した者が他にもいた。ただしこちらは父子だ。

 シカゴで無許可のポスター張りをしていて逮捕されたフォレストは、保釈金を払ってくれる友人がいなかったため、赤ん坊の時以来会っていない父フランクに助けを求める。

 フランクは菓子メーカーのマース社を経営していた。主力商品のチョコバーが地元でしか売られていないと知ると「麦芽入りチョコバーでも売り出せば? 麦芽乳はアメリカ中、誰でも飲んでる」という息子の一言でチョコバー、ミルキーウェイは誕生した。

 チョコバーで年間2000万ドルの利益をあげるようになったマース社だが、父と息子の対立は深まっていた。会社の業績はすべて自分がもたらしたと考えているフォレストが社員を人前で無能呼ばわりする傲慢さに父は「従業員に敬意を払える人間になれ」と説くが成功、それだけがすべてというフォレストはマース社を離れ独立。

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