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「表現の不自由展」中止は「不測の事態」であるはずがない 美術館関係者が騒動を見て思うこと

「表現の不自由展」中止は「不測の事態」であるはずがない 美術館関係者が騒動を見て思うことの画像1
「私たちの『表現の不自由展・その後』」公式サイトより

「あいちトリエンナーレ2019」の一部として展示されたものの、抗議活動を受けて会期中に中止となった「表現の不自由展・その後」。その一部を再展示する「私たちの『表現の不自由展・その後』」が7月6日、名古屋市内のギャラリーで始まった。

しかし8日、展示施設に“爆竹のようなもの”が届いたことで、美術展は会期途中で中止を余儀なくされた。ツイッターには「テロは絶対に容認してはならない」「テロと報じないのは五輪のためか?」などと憤る声が見られる。

これに対し、ある地方都市の美術館に勤める学芸員のAさんは、「表現の不自由・その後」関連のイベントが、もはや美術展ではなく党派的な政治活動の場になっていると指摘。「表現の自由」の議論が矮小化されることを懸念している。

「テロを引き起こしたのは美術展側」とも言える

――「表現の不自由展・その後」、私は実物を見ていないのですが、Aさんはご覧になったんですよね。

Aさん:ええ、仕事柄。さほどどぎつい表現があったとも感じられませんでしたが、その一方で、主に愛国心の強い人たちからの激しい抗議を呼び込むことをねらっていると感じました。単純にいえば、韓国の反日プロパガンダを取り込んでいるわけですから。

実際、その後の関連展でも、抗議活動によって開催が危ぶまれたり、中止に追い込まれたりしています。暴力自体は許されることではありませんが、見落としてならないことは、中止は企画者にとって「不測の事態」であるはずがない、ということです。そのような事態を最初から見込んでおり、いわば罠をかけている。

めでたく中止になって「ほら見たことか。やっぱり日本はクソで、表現の自由なんてないんだよ!」と主張するところまでが「表現の不自由展・その後」関連の美術展の意図――とまでいっては言い過ぎかもしれませんが、そういう帰結を期待している。

テロリズムの目的が、メディアを通じて社会に恐怖とともに自らの主張を拡散させることであるとすれば、「テロを引き起こしたのは美術展側だったのではないか」とも言えるわけです。

――それは「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督を務めた、津田大介さんの意図でもあった、という見方になりますか。

Aさん:まさに津田さんが自称している“メディア・アクティビスト”の面目躍如といったところじゃないですか。アートとほとんど無縁の場にいた津田さんが「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督に就任したとき、新風を吹き込むことを期待して歓迎する声が業界内にあがっていたのですが、個人的には嫌な予感がしたんです。

憲法は「表現の自由」を保障していますが、「表現」という正義を盾に、美術界の脇の甘さがつけこまれ、美術展が党派的な政治活動の場に乗っ取られるのは、権力介入を招く意味も含めて望ましいこととはいえません。津田さんの採用はSNSの拡散力が買われたのでしょうが、毒まんじゅうを食わされる結果となりました。

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