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三浦春馬さんの鮮烈な輝きは褪せず――映画で振り返る俳優としての軌跡

三浦春馬さんの鮮烈な輝きは褪せず――映画で振り返る俳優としての軌跡の画像1
第70回ヴェネツィア国際映画祭での三浦春馬さん (Photo by Stefania D’Alessandro/WireImage)

 あの日から、1年が過ぎた。映画・テレビ・舞台とフィールドを問わず活躍し、演技はもちろん、歌やダンス、文章も超一級品の表現者・三浦春馬さん。艶やかな表情も、射るような目線も、作品のカラーに合わせて自在に変える巧者だが、やはり印象的なのは屈託のない柔らかな笑顔。彼が微笑むと周りの空気も和らぎ、癒されるような得がたい魅力を備えた人物だった。

 1年を過ぎても、喪失感が消えることはない。個人的にも、心にぽっかり穴が空いた感覚が続いている。きっとそれは、三浦春馬さんにしか作れない世界観や存在感、そうした全部を含めた彼の影響力の証明でもあるのだろう。本記事では、いま現在VOD(ビデオ・オン・デマンド。動画配信サービス)で観られる映画を通して、改めて俳優・三浦春馬の魅力を振り返っていきたい。

等身大の若者もモテ男も危険な男も……幅広い表現力に驚かされる

 彼の爽やかな魅力が詰まった映画として、やはり『君に届け』(2010)は外せないだろう。本作では、クラスメートから避けられてしまっているヒロイン・爽子(多部未華子)にも分け隔てなく接する好青年・風早をキラキラと演じている。まさに、劇中のセリフである「爽やかからできている人」を体現しているのだ。だが、爽子が失礼なことをされ、本気で怒る熱さも持ち合わせており、作品を通して真摯な存在であり続けている。人気漫画の実写化ともなれば往々にしてハードルは上がってしまうものだが、多部ともども他の役者では考えられないほどハマっており、役にも作品自体にも美しいリアリティをもたらしている。

 多部とは、今泉力哉監督作『アイネクライネナハトムジーク』(2019)でも再共演。本作では、お人好しで心優しい“良い人”だが、恋も仕事もなかなかうまくいかない悩める若者に見事になりきっている。人を惹きつける天性のオーラを抑えつつ、素朴で共感性の高い人物を丹念に演じ切った三浦さん。彼が表現した等身大の若者像は、大泉洋演じる筋ジストロフィー患者を介助する篤実な医大生ボランティアに扮した『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)にも通じるところがあるかもしれない。

 かと思えば、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018)では広瀬すず扮する主人公の憧れの存在であるモテ男のDJをキメッキメに魅せており(「彼氏って言っていいよ、俺のこと」というセリフをさらりと言える格好良さ!)、三浦さんの表現力の幅広さには驚かされるばかりだ。

 一方、危険なオーラを放つ役どころも完璧にこなすのが三浦さんの大きな魅力。17歳のときに出演した『恋空』(2007)時点で圧倒的な存在感を放っていたが、その2年後には小栗旬や山田孝之ほか、当時のライジングスターが集結したヒットシリーズ『クローズZERO II』(2009)に、綾野剛や金子ノブアキらとともに参加。近隣の中学をまとめ上げた逸話を持つスーパールーキーとして登場し、凍てつくような眼光と「伝説の不良だった兄を超える」という大志を抱いた「火と氷」が同居したキャラクターを好演している(切れ味鋭いハイキックも披露‼)。金髪と黒髪のツートンというヘアスタイルも特徴的だ。

 本作で主演を務めた小栗とは、2018年の『銀魂2 掟は破るためにこそある』でも共演。こちらでは、原作の人気キャラクター・伊東鴨太郎を短髪アッシュ×メガネ姿で完コピした。全体的にギャグ色が強い作品だが、三浦さんが演じた鴨太郎は所属している組織・真選組を裏切り、テロリストと通じているというシリアスな役どころ。身も心も悪人になりきれず、非情に徹せない“脆さ”も見せており、彼の演技の配分がそのまま、“エモ”の部分を体現している。『映画 太陽の子』でも共闘する土方十四郎役・柳楽優弥や、このシリーズで大きく名を揚げた沖田総悟役・吉沢亮との対決も用意されている。

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