『ラヴィット!』まるで大喜利番組? 麒麟・川島の絶妙な采配「大喜利チャンスだと思わないでください」
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川島明「大喜利チャンスだと思わないでください」
麒麟の川島明をMCに据え「日本一明るい朝番組」を謳う『ラヴィット!』。今年4月から始まった同番組が情報番組といいながら実は大喜利番組であるとの事実は、すでに各所で指摘されているところだ。
番組は基本的に、VTRとスタジオを往復する形で進む。VTRの内容は、食べ歩きロケや100円ショップの便利グッズの紹介、ファストファッションのコーディネート術など。どれも一般的な情報番組で扱いそうな内容だ。で、そのVTR自体、芸人のアインシュタインや鬼越トマホークやコロコロチキチキペッパーズなど、あまり朝の番組では見ない顔ぶれによるお笑い要素が強いものだったりするのだけれど、その話はひとまず今回はおいておく。
さて、同番組ではVTRの最中、スタジオに向けてクイズが出される。これも情報番組ではよく見る流れだろう。が、『ラヴィット!』ではそこで出される「問題」はすぐさま「お題」に変換され、出演者たちの大喜利が始まる。
たとえば8日に放送された、料理人による焼き肉のタレの美味しさランキング。VTRの途中で「焼肉で網に肉がくっつきにくくなる裏技とは?」とクイズが出ると、稲田直樹(アインシュタイン)が「キス」、リリー(見取り図)が「意外だと思うんですけど、油を引く」、柴田英嗣(アンタッチャブル)が「一枚肉を引いておく」など出演者が次々にボケていく。答えている最中に自分の回答に笑ってしまった盛山晋太郎(見取り図)と矢田亜希子は、川島の判断で罰として立たされたりもする。
あるいは、9日に放送された鬼越トマホークによる時短料理のVTR。その最中に出てきた「サバのエスカベッシュをワンランク上の味にするアイテムは何?」といった問題に、くっきー!(野性爆弾)が「カラコン」と答えたり、竹内まなぶ(カミナリ)が「回答をストライキします」と答えたり。いつもならここからボケが加速していく流れだが、この直後、近藤千尋が「ミカン」と早々に正解を出してしまう。「なんかひとボケ入れようと思って」と弁解する近藤。そこにすぐさま川島が「ひとボケがミカンやったらめちゃくちゃ弱いですね」とツッコんだ。
大喜利はさまざまなところに忍び込む。視聴者プレゼントのキーワードを出演者が発表する場面。ここでも毎回芸人がボケる。7日は伊藤俊介(オズワルド)が担当だった。が、伊藤は予定のタイミングより前にキーワードが書かれたフリップを出そうとしてしまう。「かかっちゃって」と笑う彼に、「大喜利チャンスだと思わないでください。あくまでプレゼントキーワードなんで」と川島がツッコんだ。
こんな具合に『ラヴィット!』は放送中のあちこちで大喜利が発生する。それは、テレビ番組の中にいかにクイズが多いかという証左でもある。クイズがあるところでは、いつだってその「問い」を「お題」に読み替えられるのだ。
そんな中、やはり川島の絶妙な手綱の締め具合が目を引く。フザけが過ぎた見取り図・盛山を立たせたり、大喜利前提で回答しようとするオズワルド・伊藤にツッコミを入れたり。川島の采配により情報番組としての体裁が保たれ、パロディの成立ラインが維持される。何でもアリになったりはしない。そんな川島自身、出演者の言動に画面の枠外からひと言添えて笑いに変えたり、「画像でひと言」みたいなことをやっていたりするのも面白い。
クイズと大喜利の大きな違いは何か。それは正解が基本的に1つしかないクイズに対し、大喜利の答えはいくつもあり得る点だろう。このご時世の情報番組を見ていると、政府のコロナ対策からマスクの付け方にいたるまで、あると見込まれているたった1つの正解に向けた強迫的な問いにずっと巻き込まれそうになる。そんな中、クイズを大喜利に、1つの正解を複数の笑いに変えていく番組は、休息所のような存在に見える。
とにもかくにも、『ラヴィット!』は大喜利番組である。それは何よりも、「1年に2回しかボケない」と相方からもしばしばネタにされるロバートの馬場裕之が、1回の出演で2回以上ボケる番組であるという事実からもうかがい知れるはずだ。
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