山田洋次監督『息子』を観て感じた、宮下かな子が役者を続けることへの葛藤と大先輩が導いてくれた答え
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自分がどうにしても進んだ道が、巡って社会を育む
この作品を鑑賞して、つい先日、尊敬する人生の大先輩から頂いたメッセージが頭に浮かびました。その言葉を、僭越ながら、すこし書かせて頂きます。
「あなたの人生は、あなたが満足できればそれでハッピーなの。誰かを満足させなきゃならない人生じゃないのよ。この世界は、全部あなたの都合の良いように解釈されることを待ってるの。だから、心置きなく好きなことだけやりなさい。気が楽になる道を進みなさい。あなたが楽しくなる人とだけ付き合いなさい。そうしてあなたに与えられた役割果たしなさい。それが人類のためになる道なのよ」と。
私は、「自分に与えられた役割とは何なのか、どうしたら分かりますか」と質問しました。すると、
「それは、生涯誰もが自分では分からないんだよ。でも、自分がどうしてもやってしまうこと。それをやり続けること。それが巡り巡って、結果的に人類の繁栄のためになるんじゃないのかなぁ、ってずっと思ってるの。だから間違いなく、人間は自分から苦しむ方へ進まなくても良いんだよ。そして、頑張るのと苦しむのは違うからね。おそらく苦しむことは、人類の繁栄のためには貢献しない。人類の繁栄に貢献するのは、放って置かれても、何故か自分が、してしまうこと、それなんだよ。それが、私達各人に与えられた役割なんじゃないか、と私は辿り着き、そう信じてるよ。どうしてか、自分が楽しくなってしまうこと。そっちへ向かうことが、自分の役割なんだろうな、と私は思うの。人生の羅針盤はね、『自分が今、楽しくなっているか』ってこと、それひとつなんだよ」と。
このメッセージを読んで、何だか、神さまの言葉を聞いたかのような気持ちになりました。
以前、現代アーティストの小松美和さんの著書『世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀』(ダイヤモンド社)を読んでとても感銘を受けたのですが、私の役割ってあるのだろうか、どうやったら見つけられるのだろうか、とずっと腑に落ちないままいたのです。そんな時、その〝役割〟についての道しるべが舞い降りてきました。
大先輩からのメッセージに全て詰まっているので、ここで私がどうこう言う必要はないと思うのですが、自分がどうしてもやってしまう好きなこと、楽しいことを続けることが、与えられた役割に繋がり、結果的に周りの人達を幸せにできるのではないかと思いました。
形としての親孝行をしたい気持ちは勿論ありますが、私自身が、本当の意味で楽しく生きているかどうかで、両親の心の幸せは満たせるのではないかなぁと、考えさせられました。私のこの文章を読んで、「何言っちゃってるんだか……」なんて呆れている母の顔が、目に浮かびますが笑)。意外と1番難しくて、1番大切なことのように思います。
哲夫にとっては、征子と過ごす時間が、誰に反対されようと絶対に守りたいものであり、それが彼の幸せであって、彼女を幸せにすることが彼の役割のひとつであり、それに真摯に向き合う姿勢が、征子や昭夫を幸せにしているのではないかと思います。
ここまで長くなってしまいましたが、映画の内容はほんの少しずつ掻い摘んだだけなので、全然語り足りません。今回は自分が親を想う立場から観ての感想ということもあり、きっと、観る方の年齢によって感じるものが異なる作品だと思います。私の意見は、あくまで参考までに。年を重ねて、親の立場から観たらまたきっと、違った感想を抱くんだろうなぁ。
どこか小津安二郎監督の『東京物語』を彷彿させる設定と切り込み方。時代が変化しても色褪せない家族の姿が、シビアなリアリティとぬくもりを持って描かれています。是非観て頂きたい作品です。
いつも心配ばかりかけている父母を安心させられる日が訪れるよう、26歳も楽しく生きます!
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