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水卜麻美の出世を阻むのは“男の嫉妬”? 「男より出世」することを貶めるゴシップ記事のミソジニー

努力を強いる社会との決別を

 ボディ・ポジティブに対して「デブが痩せないための言い訳だ」という声がある。私からすれば、そういった声のほうが「前向きに強く生きる女性を脅威に感じている人が、虚勢を張るための言い訳」に聞こえる。

 痩せる、痩せないなんて個人の価値観に委ねられる選択でしかないし、どんな立場の人間であったとしても、努力は促すものであって、強いるものではない。体型や食欲をあざ笑って不要な努力を強いたり、貶めたりするような三流以下の人間とは、とっとと縁を切るべきだ。そんな連中に貴重な時間や健康を捧げるなんて、あまりにももったいない。

 女性が苦しんでいる社会に問題意識を持って、解決のために取り組んでくれている組織も存在している。一刻も早く、そうした組織に評価されるための自分磨きを始めたほうが、よっぽど有意義だ。

 実際、水卜麻美さんは老若男女問わず多くの人から愛されているし、その努力や愛社精神を評価している上司がいる。拡散されやすいネットメディアの意見が幅を利かせているように感じるかもしれないけれど、少しずつ、確実に、そういった悪意をあざ笑う方向に社会が変わり始めている。

 だから、こんな記事に惑わされる必要も、そういった組織に従属する理由も、悪意でしかない罵詈雑言を鵜呑みにした自戒も、すべて必要ない。ばかが今日もばかを言っていると笑い飛ばして、おいしいご飯を好きな人と食べて、健康的な生活を送ろう。そして、それを当たり前にしよう。そうすれば、性別や体型にかかわらず、多くの人が幸せに過ごせる社会になるのではないだろうかと、私は思う。

松田優(小説家・ライター)

小説家・ライター。2019年に『ドミノ倒れ』『かぼちゃの馬車のクレームブリュレ』(ともにIAP出版)を同時刊行。ライターチーム『WritingWrite』のリーダー兼ディレクターとしても活動。日本ペンクラブN会員、言論表現委員。

まつだゆう

最終更新:2021/07/11 12:00
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