水卜麻美の出世を阻むのは“男の嫉妬”? 「男より出世」することを貶めるゴシップ記事のミソジニー
#女子アナ #水卜麻美 #女性差別
痩せていなければ社会人として評価してもらえない男性優位社会
昨今、ボディ・ポジティブというムーブメントが広がりを見せている。これは、「自分自身の体を愛そう」という考え方を広めるためのものだ。体型は体質による影響が大きく、怠けているから、だらしないから太るというものではない。だから、周りの意見に惑わされず、自分自身を愛して健康に生きようと。
美しさを売りにしているハリウッド女優たちまでもがボディ・ポジティブに賛同し、ふっくらとした体を露出し、しみやしわを修正せずにメディアに出演している。
なぜそういったムーブメントがここまで大きな広がりを見せるほど賛同されているのかというと、“異性としての評価”と“社会人としての評価”を一緒くたにしている男性が未だに多く、「痩せていなければ美しくない」どころか「太っている女は社会人失格だ」という風潮のせいで摂食障害に追い込まれた多くの女性が命を落としているからだ。
まだまだ男性優位な社会で、女性は、男性に認めてもらわなければ社会で活躍できない。だから、女性が社会人として社会生活を送るためには、まず男性に“異性としての評価”を受けるところから頑張らなければならない。
そのために、ダイエットをして、清楚なファッションとメイクで自分を飾り、ハイヒールを履いて、そのために多額の費用を出費し、それらが苦痛でないかのように振る舞って、男性なら笑って許される粗雑な振る舞いが一切許されない窮屈な日々を笑顔で過ごす。そうしてやっと、社会人扱いされる。出世をしようとすれば、そこからさらに男性と同じだけ努力をしなければならない。女性が出世するということは、それほどまでに大変なことだ。
しかし、そこまで頑張ったとしても、女性が出世できることはほとんどない。“異性としての評価”を受けなければ社会人として活躍できない社会を牛耳っているのは「生意気な女を許せない男」で、自分の言い成りになってダイエットをした女性を可愛がることはあっても、正当な評価を下すことはほとんどない。
それでも、ほとんどの女性は、一縷の望みに賭けて賽の河原の石積みのような努力を積み重ねる。それしか、社会生活を送る術がないから。
嫉妬によって受け継がれていく悪意が女性の健康を害し続けている
水卜麻美さんは、正当に能力を評価してくれる職場に巡り合えた。そしてその職場のために、実入りの良いスカウトを断った。何も非難する点が見当たらない。
だからこそ、彼女は嫉妬される。出世を阻まれた男性から、職場に恵まれずに苦しんでいる女性から。ネットメディアゴシップは、そうした人の嫉妬に漬け込むために彼女を女性として貶める。
そしてそれを読んだ別の女性が、食欲や体型があざ笑われているゴシップが当たり前のように世間に受け入れられているさまを受けて、それが世間の声なのだと思い込んで、自分自身を追い詰めていく。
男性でも、太っていることでいじめに遭った人は少なからずいるだろう。けれどこれは、いじめの話ではない。女性にとって「痩せている」ことは必須条件で、それを満たしていないと社会人扱いされないという話だ。そう扱われる男性は非常に少なく、現に、ボディ・ポジティブというキーワードで検索すると、女性の画像しか出てこない。
冷静に考えれば、食欲や体型をあざ笑う人間なんてロクな人間ではないとわかる。けれど、それでも、それに従わなければ社会生活が営めない。悔しくても、従属するしかない。健康と引き換えにしなければ社会生活を営めない女性は、とても多い。こうしたゴシップは、単に個人を傷付けるだけではなく、多くの女性から健康を奪っているのだ。
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