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日本民営鉄道協会が鉄道での暴力行為が減少したことを発表! たまたま新型コロナで飲み会減少しただけ?

日本民営鉄道協会が鉄道での暴力行為が減少したことを発表! たまたま新型コロナで飲み会減少しただけ?の画像1

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、2020年度の鉄道係員に対する暴力行為の発生件数は大きく減少した。だが、2021年に入ると件数は再び増加傾向を示している。

 日本民営鉄道協会は7月5日、「2020年度の鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況」を発表した。2020年度は37社局で377件の暴力行為が発生した。この377件は2019年度に比べ204件(35.1%)も減少した。

 鉄道係員に対する暴力行為自体も、近10年では2011年度の911件をピークに減少傾向を辿っていた。この背景には、鉄道事業者による啓発ポスターの掲出、警察官の巡回や警備員の配置、駅係員の研修等の取組み、防犯カメラの駅構内・車内への設置等が暴力行為の抑止に大きく寄与していると考えられる。

 しかし、2020年度の減少は新型コロナの感染拡大により、緊急事態宣言や外出自粛要請が行われたことや、テレワークの推進等により、鉄道輸送人員が大幅に減少したことによる。

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 暴力行為の発生状況を見ると、377件のうち217件(57.6%)で加害者は飲酒をしていた。一方、飲酒なしは127件(33.7%)、不明は33件(8.7%)となっている。

 飲酒後の暴力行為の件数だけを見ると、2019年度356件から217件へと139件・39.0%減少しており、飲酒なしは140件から127件に13件・9.3%の減少にとどまっていることから、新型コロナによる飲食店等の休業要請により、外食・飲酒の機会が減少したことが大きく影響している。

 加害者の年齢では、20代以下17.0%(前年度は16.5%)、30代18.0%(同16.4%)、40代18.0%(同16.5%)、50代19.9%(同20.3%)、60代22.1%(同20.7%)、不明5.0%(同9.6%)となっており、大きな変化は見られない。

 同様に、発生場所では改札42.2%(前年度は41.3%)、ホーム31.6%(同31.6%)、車内14.3%(同13.0%)、通路3.7%(同6.2%)、階段1.0%(同1.3%)、その他7.2%(同6.6%)とこちらも大きな変化は表れていない。

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 暴力行為の発生を月別の件数で見ると、新型コロナの影響がはっきりと表れている。緊急事態宣言が出された2020年4月は前年度比で50件(82.0%)減少、5月が同16件(33.3%)減少、6月が同18件(34.0%)減少、7月が同26件(40.6%)減少と大きく減少していたが、その後は人出の戻りや飲食店の営業再開により、再び暴力行為が増加し、10月は前年度を上回る発生件数となるなど、前年度並みの発生件数となった。

 2020年12月、2021年1月は忘年会や新年会を自粛した影響もあり、飲酒の機会が少なかったこともあり、前年同月を大きく下回る発生件数となっているものの、2月、3月については前年同月並みの暴力行為が発生している。

 こうした傾向が続くようであれば、新型コロナによる影響があったにせよ、せっかく大幅に減少した暴力行為が、再び増加に転じることが強く懸念される。

 暴力行為の曜日別発生件数では、例年、週末にかけて暴力行為の発生が増加する傾向にあったが、2020年度は週末にかけて増加する傾向は現れなかった。これも、飲酒機会の影響や人手の減少が影響しているものと見られる。

 時間帯別の暴力行為発生件数では、深夜の発生件数が非常に多いという傾向は、例年と同じだった。深夜帯に発生件数が多いことと飲酒とは強い相関関係が見られる。

 2020年度の鉄道係員に対する暴力行為の発生は、新型コロナによる影響で大きく減少したが、今後、経済活動が回復し、人出が増加し、飲酒機会が増えることで、暴力行為も再び増加する可能性がある。

 新型コロナが鉄道係員に対する暴力行為を抑止するのではなく、普段から暴力行為がなくなることが期待される。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

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最終更新:2021/07/11 08:00
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