映画『100日間生きたワニ』はコロナ禍でこそ生まれた傑作! そして原作の炎上騒動に落胆した人にこそ観てほしい理由とは
#映画 #アニメ #100日間生きたワニ
引き算も足し算もできない、濃密な63分の上映時間
本作のもう1つの魅力であると断言したいのは、上映時間が63分であること。実際に本編を観てみれば、この上映時間で全ての伏線が巧みに回収され、キャラクターたちの関係性の変化も十分に描かれている、過不足のない内容であることがわかるだろう。
この上映時間の短さを「物足りない」とマイナスに捉える方もいるかもしれないが、筆者は全面的に支持したい。全体的にテンポ良く展開し、キャラの関係性の変化を丁寧に描きつつ、過度にウェットにすることや「説明」も避けている。これ以上は引き算も足し算もできない、濃密な内容になっていたのだから。
アニメとしての作りは一見すると「ゆるく」簡素なものに見えるかもしれないが、裏を返せば観ていて疲れない、ほっこりと癒されるものだと、こちらも十分にポジティブに捉えられる。しかも、スクリーン映えする、あっと驚く「見せ場」のサービスも込められていた。上田監督の妻であり、共同監督と脚本を務めたアニメ作家のふくだみゆきも、これ以上のない仕事をしていたと言っていいだろう。
なお、本作は前述した原作の炎上のみならず、地震でオンラインイベントが中止・延期、緊急事態宣言に伴う映画館の再休業により公開延期など、逆風に逆風が吹き荒れた作品でもある。原作が大いに嫌われてしまったため、この映画のレビューページにありもしない内容を記す心ない「大喜利」が行われてしまっている現状もある。だが、実際に本編を見れば、原作のアレンジに驚き、コロナ禍でこその切実なテーマを描いた、真摯に作られた映画であることはきっと伝わるはずだ。「どうせこんなもんでしょ」とたかを括ることなく、劇場でご覧になってほしい。
参考記事:
「人生の予防接種として見てほしいですね」映画『100日間生きたワニ』の上田慎一郎監督とふくだみゆき監督にインタビュー|@DIME アットダイム https://dime.jp/genre/1164436/
『100日間生きたワニ』
公開表記:7月9日(金)全国公開
©2021「100日間生きたワニ」製作委員会
配給:東宝
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