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辻仁成、サッカー仏代表の差別発言問題を「誤訳」と全力擁護の違和感

辻仁成、サッカー仏代表の差別発言問題を「誤訳」と全力擁護の違和感の画像1
Getty Imagesより

 サッカーの世界的強豪チーム「FCバルセロナ」に所属するフランス代表選手2人が、来日時に人種差別を行った疑いが浮上し、世界的な騒動となっている。日本人が差別の被害者になったことに対し、多くの日本人が怒りと悲しみを覚えているが、思わぬところから助け舟が現れた。フランス在住の作家・辻仁成が「あれは差別ではない」と訴えたのだ。

 問題となっているのは、2019年にバルセロナが来日した時のこと。フランス代表のウスマン・デンベレとアントワーヌ・グリーズマンがホテルで話している動画がネットに出回り、テレビゲームのセッティングを頼んだ日本人スタッフに対し、「醜い面だ」「あなたたちは(技術で)進んでいるんじゃないのか?」「ひでえ言葉だ」などと悪態をついている場面が収められていた。2人はその後、謝罪の意思を表明したが、バルセロナとスポンサー契約を結んでいる楽天の三木谷浩史会長が抗議するなど、騒動は止む気配がない。そして、これに素早く反応したのが作家の辻仁成だ。

「辻は4日、報道を受けて、自身のブログに『仏サッカー代表選手が日本人大差別の報道を分析。くそ野郎は誰だ!』という記事を投稿。報じられた和訳が誤訳であると指摘しました。長いブログ記事ですが、要するに“問題はあるが、差別ではない”という見解です。辻のもとにはその後、多数の批判が寄せられたようで、8日には再びこの問題に言及しましたが、差別ではないとの見解について訂正はしていません。

 辻の指摘に疑問符が付くのは、フランス語を母語とする複数の人物が、デンベレとグリーズマンの発言が明らかに差別的であると指摘していることです。日本代表のトルシエ監督の通訳を務めたフローラン・ダバディも、ハッキリと2人の発言はOUTだと言っている。フランス語が“第2外国語”の辻が、“第1外国語”の人間より正確にニュアンスを汲み取れるとは思えません」(サッカー誌記者)

 デンベレとグリーズマンは、「友人とのプライベートな会話」「私をおとしめようとしている」「(汚い表現は)どこの国の人であろうと使う」などと釈明したため、騒動に“火に油”となったが、辻は差別問題について“前科”がある。

「辻は2019年、息子が美容院で“ニンハオ”とからかわれ、差別されたと怒ったことに対し、『差別というのは差別を受けたと思った時点で負けるんだ。いいか、胸を張って言い返してやれ』と、説教したことをブログに書いています。立派な意見にも聞こえますが、これは『イジメられる側にも原因がある』というのと同じ理屈です。

 辻は同じ日のブログで、『パパはフランスで一度も差別を受けたことがない』とも書いている。さらに昨年、パリの日本料理屋が『コロナ、出て行け』と落書きされた事件も、『この店の経営者は中国系』『不良たちの不満のはけ口の一環』と擁護している。差別かどうかは客観的に判断できるものなのに、彼の中ではそれが主観的なものになっています。言葉を武器に生きる作家が差別にとことん鈍感だというのは、悲劇以外の何物でもありません」(出版関係者)

 まさかのフォローに一番驚いているのは、デンベレやグリーズマンかもしれない。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2021/07/08 19:00
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