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『ゆりやんと7人のツッコミ』と小沢真珠と 「特番ってここまでなんでもやっていいもんなん?」

『ゆりやんと7人のツッコミ』と小沢真珠と 「特番ってここまでなんでもやっていいもんなん?」の画像1
小沢真珠Instagram(@maju_ozawa)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月27~7月3日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします

陣内智則「どういうこと? コンセプト教えてよ」

「特番ってここまでなんでもやっていいもんなん?」

 濱家隆一(かまいたち)が途中で発したそんなツッコミが、番組の雰囲気をよく表していた。27日深夜に放送された『ゆりやんと七人のツッコミ』(関西テレビ)。今年の『R-1グランプリ』(同前)で優勝したゆりやんレトリィバァに、副賞として与えられた冠特番だ。

 番組の構造はとてもシンプル。彼女が終始ボケ続けるVTRが流れ、それに7人のツッコミ芸人たち──陣内智則、ノブ(千鳥)、おいでやす小田、近藤春菜(ハリセンボン)、濱家隆一(かまいたち)、盛山晋太郎(見取り図)、粗品(霜降り明星)――がワイプの中から各自一斉にツッコむというものだ。ただ、構造のシンプルさとは裏腹に、その番組内容は単純ではない。だって、ゆりやんがメインの番組なのだから。

 番組は唐突に始まった。最初に映ったのは排水溝に水が流れ込む映像。画面は徐々に、ゆりやんがドレスを着たままシャワーを浴びている映像に切り替わっていく。彼女の『R-1』優勝ネタのラストシーンを連想させるカットだが、どうしてこんなシーンから始まるのか、どういう設定なのかについては、当然のようになんの説明もない。

「どういうこと? コンセプト教えてよ」

 陣内はそうツッコんだ。困惑を交えた同様のツッコミは、この後、約1時間の番組の中で7人の芸人たちから定期的に発されることになる。

 シャワーシーンに続き、VTRはゆりやんが里帰りする映像へ。彼女の生地は奈良県の吉野町。そこを思わせる山で囲まれた田んぼの畦道を、ゆりやんが1人歩いている。突然、彼女は「懐かし~」と言って走り出す。そんな彼女の背中をカメラが追う。しばらく続く無言の疾走シーン。そんな映像に、芸人たちが「なんのショットやねん」(陣内)、「長いな! 走るシーン!」(小田)、「ここカットせぇよ」(盛山)などと一斉にツッコミを入れる。

 その後、ゆりやんは実家だといって洞窟の中に入ったり、犬(シェパードとコリーの雑種。レトリバーではない)を父、石を母だといって紹介したり。母が録画したゆりやんの出演番組といって『ケンミンSHOW』や『午後は○○おもいッきりテレビ』(日本テレビ系)のビデオテープを見せたり、高校時代にやっていたというギターを弾き始めるも延々とチューニングを繰り返したり。

 そんなゆりやんに、芸人たちはさまざまなスタイルでツッコミを入れていく。「嘘つけーーー!」と絶叫する小田。「お母さんちっちゃなってもうた。カッチカチやないか、お母さん」とボケに半分ノリながらツッコむ陣内。「どうやって石と犬が(ギターを)買いに行くん」と伏線回収的にツッコむノブ。「『みのもんた好きやな』ってツッコめる最後の世代やと思ってくれ」と他の芸人と被らない長尺のツッコミを入れる粗品。

 1つの映像に多様なツッコミが一斉に放たれるさまは、100m走と800m走と400mハードルの選手が一斉に競っているような感じがする。そんな中、粗品は1人、やり投げで参加している感じ。そんな多角的な視点と技の応酬が面白い。ところどころで7人全員が「汚っ!」とか「雑種って言うな」とかツッコミが揃うところもあったりするのがまたいいアクセント。説明があまりない余白の多い映像には、7人のツッコミ芸人は多すぎることはない。そしてツッコミ優位とも言われる時代にあって7人のツッコミ芸人に1人で渡り合う、ゆりやんのボケの強さ。

 母親(石)とケンカを始めたゆりやんを見ながら、濱家が嘆いた。

「ゆりやん、俺さっきまで『ZIP!』出ててん。『ZIP!』からこれは、もうついていかれへん」

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