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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 菅が“なかった”ことにする「天皇陛下の五輪憂慮発言」

菅義偉首相が“なかった”ことにする「天皇陛下の五輪憂慮発言」

五輪を強行する菅首相と五輪を憂慮する天皇陛下

 さあ大変だ! 東京のコロナ感染の増加が止まらない。このままいけば再びまん延防止か緊急事態宣言の発令まであり得る。

 菅首相が聞きたくないニュースも続々入ってきている。

 外国の選手団の中には参加を取りやめると発表したところも出てきているし、サッカー応援のためにロンドンを訪れていたスコットランドの1294人が、コロナに感染していたことが明らかになった。感染源は不明のようだ。

 観客を1万人にすると意気込む菅首相は、心臓が竦みあがる心地がしているはずだ。

 その上、菅にとって腹立たしいのは、西村泰彦宮内庁長官を通じて伝えられ天皇の東京五輪憂慮発言であろう。

 文春によれば、6月24日に行われた定例会見で、西村長官は緊張を隠せず、冒頭に述べる「お変わりなくお過ごしです」という文言を飛ばしてしまったという。

「拝察しています」と一応、断ってはいるが、天皇の“真意”であることは間違いないようだ。同じ警察庁出身の大先輩、杉田和博官房副長官は、「西村はなぜ事前に言ってこないんだ」と憤ったという。

 西村は気に食わない前任者を任期前にすげ替え、官邸の意を汲む人物として送り込まれた人間なのだ。それがなぜ?

 どうやら、文春、新潮ともに、きっかけは6月22日に菅首相が行った「内奏」にあると見ている。

「内奏は五十分弱と決して長くはなく、首相は従来通り『安心・安全な大会を開催』と述べたといいます。その説明に、陛下は強い危惧を覚えられたのではないでしょうか」(宮内庁関係者=文春)

「内奏を終えた菅総理は周囲にこう漏らした。<陛下はコロナの感染状況をかなり心配されているようだった>」(新潮)

 別の宮内庁関係者は文春で、西村長官は皇族方からも信頼が高く、実際には次長に就任した頃から官邸には情報を上げていないと語っている。

 たしかに現憲法下で天皇が政治的な発言をすることは厳に戒められている。だが、コロナ感染が終息する気配を見せない中、観客を入れて東京五輪を開催しようとしている菅政権に、西村長官の口を通していわねばならないほど、天皇の危機感が強いというのも事実であろう。

 菅首相は天皇発言を「なかったもの」にしようとしているようだが、多くの国民は、「お・も・て・な・し」もできず、触れ合うこともできない五輪などにもはや興味を失っている。

 新潮は、7月5日に新潮別冊「奇跡の『東京五輪』再び」を出すそうだから、五輪に反対などできるわけはないだろうが。(文中敬称略)

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