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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ツイッターでフランクにコンビ解散を発表する若手芸人

ツイッターでフランクにコンビ解散を発表する若手芸人たち… ホームチーム解散をはっきり後悔する自分との違い

まだまだ可能性が残っているはずなのに、やめていくほとんどの若手たち

 つまり何が言いたいのかというと、最近の辞めていく芸人のほとんどは可能性を残したまま辞めているという事。

 もっともがき、もっとあがけば違うネタが出てくるかもしれない。ボケとツッコミを逆にしたら今までよりウケるキャラが見つかるかもしれない。もう少しだけ辞めるのを待てば僕にとってのYouTubeのような新しい媒体が登場するかもしれない。

 そういう可能性をすべて残して辞めてしまうのだ。

 辞める理由で多いものが”10年を目安に、ダメだったらお笑いを辞めると決めていた”というもの。

 お笑いで成功する姿を描かず、自らゴールを定めて辞める姿を浮かべる人間が売れるわけがない。10年で売れる方が稀であり、10年過ぎた辺りから面白くなる芸人なんて山ほどいる。

”絶対に売れてやる!”と心に決めている芸人と”10年で辞めてやる!”と決めている芸人なら、前者の方が勢いや自信に満ち溢れているはずだ。僕のように辞めた事を後悔し、いまだに言い訳のようなことを言ってしまう元芸人にとって、言い訳せずにまっすぐ前だけを見ている芸人は悔しいほどに魅力的だ。

 もうひとつ辞める理由で多いものは”相方との不仲”である。

 お笑いコンビは夫婦みたいに言われることがあるが、本当にその通とおりで、きちんと3年ごとに倦怠期に似たような時期がやってきて、その時期に解散するコンビが多い。

 ほとんどの芸人は学生時代の友達や、養成所の同期でコンビを組むことが多い。芸人になりたての頃は相方くらいしか知り合いがいない状態だが、3年も経つとある程度芸人の中で交友関係が広がり、社交性のある芸人は別の芸人と遊ぶようになる。そうなると先輩芸人が良く言っている「相方が普段何やってるか全く知らない」というのが格好良く思えて、比較的プライベートを一緒に過ごさなくなる。

 元々仲間内で面白いやつや、気が合う友達とコンビを組んだはずなので、当時より遊ばなくることで、なんだか二人の関係性が変わったように思えてしまう。

 倦怠期の夫婦さながら相方の嫌な部分ばかりが気になるようになってしまい、きちんと話し合いをしないと、倦怠期がそのまま大きな溝になり、いつの間にかコンビ間に亀裂が入ってしまい解散に至るというわけだ。

 しかしこの倦怠期こそ友達から”ビジネスパートナー”になる為の準備段階で、芸人になるには必要な事なのだ。

 決して仲が悪くなるという事ではない。ビジネスパートナーになるという事は、友達同士のなあなあの関係ではなく、どこか俯瞰でお互いを見て、相方からのダメ出しを素直に受け入れ、お互い相方以外の芸人と遊ぶことにより見聞を広げ、二人だけでは成長しきれない部分を成長させ、コンビの成長に還元するということなのだ。

 僕自身も相方とは学生時代に会い、こいつとならお笑いやれると思いコンビを組み、段々と普段は遊ばなくなり、最終的には他の芸人さんと同じようにプライベートはほぼ知らないが、一番信頼している存在になった。

 これに気づけるかどうかがコンビ存続にかかわって来るのだが、ほとんどの若手芸人が気づけない。気づいたとしても、すでに入ってしまった亀裂を埋めることができず辞めてしまう。

 他の職業もそうかもしれないが、若手芸人というのはウミガメの赤ちゃんが大人になるようなものだと思う。

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