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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ツイッターでフランクにコンビ解散を発表する若手芸人

ツイッターでフランクにコンビ解散を発表する若手芸人たち… ホームチーム解散をはっきり後悔する自分との違い

今の若手芸人は、ネタを錬成し続けない?

 最近の若手は僕と同じようにやり切らずに辞める芸人が多いような気がする。

 ただ僕の場合のやり切らずと若手芸人のやり切らずは、これまた質が違う。僕のは、最後の最後までもがいたつもりだったが、「もっともがけたのではないか」という後悔を含んだ”やり切らず”で、最近の若手のは他者が判断しての”やり切らず”だ。

 芸人において、ネタを作るというスキルは最も重要であり、高い精巧性を求められる。

 多くの事務所はこの芸人が作ったネタを披露して、第三者が感想を言ったりネタのアドバイスをする【ネタ見せ】という過程がある。僕も今はアドバイスする側の人間になったが、今の若手芸人と昔の若手芸人の決定的な違いを目の当たりにした。

 それはネタが完成しているかどうか、だ。

 昔はネタが完成することなどありえないという考えが普通であり、同じネタをどうやってさらに面白くするか、100人いたら100人とも笑うネタにするにはどうブラッシュアップすれば良いかを常に模索していた。

 その為かひとつのボケを生み出すまでに数時間を要することも珍しくない。ただそれでもお笑いの趣味嗜好は十人十色で、ネタが100%完成するなんてことは実現しないのだ。それを踏まえて100人にウケるネタを目指して近づく事がネタ作りの基本であり、芸人としての常識であった。

 ところが今の若手芸人は作ったネタが完成形で、それ以上は無いという考えの人が多い。いや、完成形ではないが、もうそれ以上は考えられないと言ったほうが正確かもしれない。

 なのでネタ見せである程度アドバイスをしたとしても、つぎのネタ見せでは違うネタを持ってくるのだ。

 こちらはネタ見せで見たネタに対し、どうアドバイスを活かし、どう笑いを増幅してくるかと楽しみにしているので、違うネタをやられると拍子抜けしてしまう。

「前のネタはどうした?」と聞くと、大抵の若手芸人は『ちょっと思いつきませんでした』と答える。アドバイスに何の意味も無い。やるだけ無駄なネタ見せになるなんてしょっちゅうだ。

 たまに意地悪な質問で『このボケに対して何時間考えた?』と聞いてみることもあるが、ほとんどの若手芸人は『結構ずっと考えてるんですけど、浮かばなかった』と答える。

 明らかなウソだ。ずっと考えていれば必ずひとつ以上は浮かぶはず。つまりそのボケを膨らませるという事をはなから諦めているのだ。

 なので、新しいネタを書いてお茶をにごす。100人中50人しか笑わないネタが完成形なわけがないだろうが。そもそも可能性が無いネタならば、こちらもアドバイスなんてしない。「そのネタにはまだ可能性があるんだよ」という意味を込めてのアドバイスなのだが、こちらの気持ちは微塵も感じ取っていないのだろう。楽な方、楽な方へと進んでしまう。

 ネタ作りは0を1にする作業で辛いのは当たり前だ、さらには1を2にする作業、時には1を新たな1にする作業が必要となる。
それをすべてやってはじめてもがいたと言える。

 ネタづくりに対する不平不満はこのくらいにしておこう。

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