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宇垣美里はなぜいつも“落ちぶれる”のか―「ジェンダー・ギャップ」120位男女差別記事が平然と消費される日本

「○○だから仕方ない」で無意識に差別を正当化する習慣

 有名人だから仕方ない。女性だから仕方ない。年下だから仕方ない。生意気だから仕方ない。弱いから仕方ない。そうやってありとあらゆるステータスを「差別されて然るべき理由」と定義して、問題を見て見ぬふりしてきた結果が今の日本で、ジェンダー・ギャップ指数という数値として現れたに過ぎない。

 それは、何も女性に限ったことではない。男性だから。障がい者だから。貧乏だから。金持ちだから。問題を見て見ぬふりするため、差別されて然るべき理由をいちいちつけて正当化して、日本に在住するほとんどの人が差別されて然るべきステータスを有することとなった。

 無意識だ。悪意なんてない。差別だと自覚して差別している人はほとんどいない。だから、解決できない。悪事だと自覚できる悪事はやめられるけど、悪事だと自覚できない悪事は悪事ではないから、やめる理由がない。追い詰められた側も、相手の悪意のなさに混乱して、自分がそう扱われて然るべき人間なのだと自分を追い詰めていく。そして、自分を殺す。

悪意のない男女差別がジェンダー・ギャップを生んでいる

 こういった話をすると、「女性側の被害妄想だ」と苦笑いされることがある。残念ながら、親しい友人であっても、女性であっても。

 つまり、恐ろしいことに、多くの男性は「女性は感情的に被害妄想を抱くものだから相手にしなくてもいい」という既成概念化した固定観念の下、無意識に女性を差別している。だからこそ多くの男性が、ジェンダー・ギャップ指数の低さをアンリアルに感じるのだろう。

 しかし、こういう話がある。

 アメリカのある企業で、ある男性スタッフが、最悪な顧客とメールでやり取りをした。どう最悪かというと、その顧客は横柄で侮蔑的で、要求をことごとく無視して、話が一向に進まない。

 どうしたものかとうんざりしていたとき、ふと気付いた。その顧客へのメールの署名が、誤って別の女性スタッフの署名となっていたことに。

 このとき、男性スタッフは「署名を間違えていた」と言わず、「女性スタッフからプロジェクトを引き継いだ」と顧客に伝え、署名以外は全く同じやり方で接客を続行したところ、信じられないほどスムーズに話が進んだという。

 男性スタッフはこの経験から、「2週間、女性スタッフと名前を交換して働くという実験」を行なった。すると、いつも通りに仕事をしているのに、すべての提案に難癖をつけられ、見下したような態度を取られ、最悪な体験だったという。

 反して、男性スタッフの名前を使った女性スタッフは、これまでで最も生産的に仕事ができたと話した。

 男性スタッフはこの経験から女性が未だに著しく差別されていることを知り、SNSでその旨を発信。この情報が全世界に広まって、日本にいる私にも届いた。それほどに、無視できない情報だと扱われた。

 諸外国はその事実を受け入れて、ジェンダー・ギャップを埋めるあらゆる取り組みをしている。しかしなぜか日本人の多くは「女性の被害妄想だ」として無視してしまった。その結果が今、「156カ国中120位」という、政府が無視できないほどの数値として現れた。

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