「ペプシはクール。コークは保守的でダサい!」“コカ・コーラVSペプシ”の広告戦争に追ったドキュメンタリー『COLA WARS』
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筆者は1980年代に青春時代を過ごし、当時中坊だったやつらは喉が渇けばみんなコカ・コーラを飲んでいた。運動部の休憩時にもコーラは欠かせなかった。スポーツドリンクという概念はまだなかった(宮沢りえがCMに起用されるとみんなすぐに、ポカリスエットを飲み始めたけど)。
炭酸飲料の本場、アメリカでコカ・コーラとペプシが覇権を賭けて争った『COLA WARS/コカ・コーラVSペプシ』を見た。80年代に起きたコーラ戦争のドキュメントだ。
1886年に「世界初のコーラ」として誕生したコカ・コーラ(以下コーク)は、コーラ飲料が数多く誕生していた1970年代にも圧倒的なシェアを誇っており、第4位以下の勢力に甘んじていたペプシは、王者の座を虎視眈々と狙っていた……わけではない。
「2位を狙うのです」
ペプシの元幹部は語る。
「2位は常に挑戦しなくてはいけません。1位は自分たちは最高だから、何もしなくていいんだ、となりますから」
日本の某議員のように「2位じゃダメなんですか!」と叫んだペプシは、挑戦者らしいなりふり構わぬやり方で王者コークを追いかける。70年代半ばにペプシは「ペプシチャレンジ」なる比較広告戦略を仕掛ける。それは町行く人にコークとペプシを商品名を隠して飲み比べさせ、「美味しいのはどちらですか?」と選択させると、ほとんどの人がペプシの方を美味しいと選んだ!
このペプシチャレンジは大成功し、コーラ市場のはるか下位にいたペプシは瞬く間に業界2位に躍り出た。ペプシなんてまったく相手にしていなかったコークは「不当な宣伝手法だ」と不機嫌になったが、そのこと自体をペプシは逆手にとって宣伝に使った。
「コークはペプシをライバル視して不安になっているのだ」と。
コークは当時の人気コメディアン、ビル・コスビーを起用して「飲み比べすればコークの方が美味い!」というCMで反撃するが失敗した。コスビーは近年、性的暴行事件を起こして有罪判決となったが、ムショでもコーク飲ませてもらってるのかな?(アメリカの刑務所にはコーラの自販機も置かれているから)
加熱したコーラ戦争は、炭酸飲料業界に成長をもたらした。80年代の炭酸飲料消費量は50年代と比べて3倍になり、年間250億ドルの市場で各コーラ会社はしのぎを削った。
ダイエット・コークを大量宣伝でヒットに導いたコークに対抗すべく、ペプシ側はロックスターを使ったCMに着手。選ばれたのは世界一のポップ・スター、マイケル・ジャクソン! 500万ドルの契約を結んだマイケルは「コークを落胆させましょう」というほどCMに入れ込んだマイケル。自身最大のヒット曲『ビリー・ジーン』の替え歌をCMソングにし、MTVにて無料で流されまくったCM「君はペプシ世代」は、大人気で首位のコークまであと5%で届くという大成功をペプシにもたらす。
その後マイケルは児童への性的いたずら問題を起こすのだけど、コーラのCMに関わるタレントってなぜか性的スキャンダルを起こしがちだね!
それはともかく、ペプシはロック・スターを起用したCMをバンバンつくって
「ペプシはクール。コークは保守的でダサい!」
というイメージを植え付ける。
いくらうちの商品はむこうよりも美味い、といっても味は伝えられない。となれば商品のイメージをよくするしかない。一流のスターが飲んでいるのだから、これを選んだあなたも一流だ、という風に。80年代はマーケティングの時代であり、コーラ戦争はマーケティング戦争に突入する。
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