トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > バイキングで“占う”来し方行く末

博多大吉「自由が一番不自由なんだよ」バイキングで“占う”来し方行く末

博多大吉「自由が一番不自由なんだよ」バイキングで占う来し方行く末の画像1
『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)公式Twitter(@tvchidori)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月20~26日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

博多大吉「自由が一番不自由なんだよ」

 芸能人が素顔や本音を晒すことを謳うテレビ番組は、見せ方を変えながら以前からずっとある。芸能人、特にタレントは何かを売るために自分を売ることを仕事の柱にしていると考えるなら、それは自然なことなのかもしれない。

 ただ、そこで見せられているものがどこまで“素顔”で”本音”なのかは、いつだってよくわからない。ましてや、占い番組でわかるはずがない。占い師が芸能人のパブリップイメージを補強するインタビュアー役を実質的に担っているような場合は特に。――って、ちょっと個人的な占い嫌いが漏れ出てしまった。

 さて、占いよりもよっぽど人間性を浮き彫りにしていそうなものとして、20日の『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)で放送されていた「一周だけバイキング」が興味深かった。以前に一度放送された同企画。今回はその第2段だ。オープニングで、大悟(千鳥)が企画趣旨を説明する。

「これはホントに、人のいろんなもんが見えましたよね。今までの育ちとか、性格とか」

 バランス良く選ぶのが難しいバイキング。ついつい取りすぎてしまったり、茶色一色で染まってしまったり、バイキングの皿の上にはその人のセンスが漏れ出てしまう。そこで、芸能人にさまざまな料理が並ぶ机の間を一周だけしてもらい、料理の選択と盛り付けからその人の人間性を垣間見ようという企画だ。

 今回の挑戦者は博多大吉(博多華丸・大吉)、草薙航基(宮下草薙)、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)、長嶋一茂。中でもバランスのよい料理選びと鮮やかな盛り付けを見せたのは、やはり一茂だった。焼き魚の横に、はじかみ生姜を添えるなどしている一茂のプレートには、なんだかんだいって“育ち”の良さを見てしまう。

 対して、大吉は惨憺たる結果。ステーキを入れたお椀の上にオムレツの皿を重ねたり、味噌汁の上に天ぷらの入れ物を乗せたり、皿からはみ出る長いタラバガニの足を迷いなく取ったり。あらゆる料理に目移りした結果、大吉が持つトレーには収まりきらない皿が違法建築のように積み上がっていった。

「自由が一番不自由なんだよ」

 大吉は挑戦前にそのように語っていたけれど、その言葉どおり、どんな料理でも選んでよいという自由ゆえの不自由がトレーの上に表現されるのだった。

 そのほかにも、草薙は優柔不断さとわんぱくさがフュージョンした盛りだくさんのプレートになってしまったり、小杉は1周回っている間にエビチリのソースがTシャツについてしまったり。もちろん出演者の振る舞いにはショーとして面白さを演出した側面もあるのかもしれないけれど(自身の「先生」キャラとギャップがある料理選びで今回の企画意図である「隠れた人間性が見える」をわかりやすく伝えた大吉、他のバッドセンスな出演者とは違うグッドセンスを見せて番組の流れを作った一茂、など)、そんなところも含めて、その人の人間性のようなものを読みとってしまいたくなる企画だった。

 にしても、バイキングをするというたったそれだけで“面白い”を作り上げていく千鳥の手腕に改めて驚く。これまでも『テレビ千鳥』は、100円だけ持ってゲームセンターに行くだけ、河原で丸い石を探すだけ、広瀬すずに会うのを我慢するだけなど、「たったそれだけ」の企画をお送りしてきた。そして、そんな制約のある設定から笑いを自在に生んできた。

 自由は不自由。だけど不自由な状況から自由が生み出せる場合もある。今回の企画は出演者の人間性を浮き彫りにする企画だったけれど、同時に『テレビ千鳥』の面白さを象徴するような回でもあった。

12
ページ上部へ戻る

配給映画