『関ジャム』東京事変特集、後半戦! 椎名林檎が古めかしい言葉を歌詞に多用する理由とは?
#椎名林檎 #東京事変 #King Gnu #関ジャム #浮雲
6月20日の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)は前回に引き続き、東京事変を特集。事変メンバーの親族が出演……というテイでメンバー全員が登場する、古坂大魔王みたいなシステムの特別バージョン「変ジャム」が放送された。
東京事変とKing GnuとBLURが好む“歪み”
まずは、語り部たちが選ぶ「コレぞ東京事変!!」という曲の数々を紹介する流れに。King Gnuの勢喜遊が挙げたのはアルバム『スポーツ』のオープニングトラック「生きる」で、常田大希が選んだのは「FOUL」だった。どちらも信用できるガチな選曲だ。続いて、ゲスの極み乙女。のちゃんMARIが選んだのはニューアルバム『音楽』の収録曲「孔雀」で、関ジャニ∞の丸山隆平が選んだのは『スポーツ』収録のシングル曲「OSCA」だった。これらのセレクトを見て思ったのは『スポーツ』に支持が集中しており、さらに浮雲が作曲したナンバー(「FOUL」「OSCA」は浮雲の作曲、「孔雀」は椎名と浮雲による作曲)が人気だということ。
どうして、これらの曲が選ばれたのか? 常田は「FOUL」を挙げた理由に「歪み」という言葉を用いた。ライブでは拡声器を使ったパフォーマンスでお馴染みの1曲である。
「歪みの使い方、ジャンクなサウンド感も醍醐味。拡声器を使うアーティストは歪みマニアが多くて、椎名林檎、hide、デーモン・アルバーンなど個人的に好きなアーティストが多いです」(常田)
ライブで「FOUL」を演奏する際の演出(ライト等)が、実はデーモン率いるBLUR「Crazy Beat」のMVに少し似ているのだ。もしかして意図的だった? と、改めて勘繰らせる常田のコメントだ。きっと、常田が拡声器を持つのもこうした先達からの影響なのだろう。King Gnuの中でも音を特に歪ませた楽曲「飛行艇」で、彼はやはり拡声器を使っている。
実は浮雲はイライラしていた?
丸山が指摘したのは、浮雲のギターソロについてだった。浮雲は毎回、必ず違うギターソロを弾く。「ライブで音源通りのソロを毎回弾いているほうがおかしい」という考え方もあるだろう。しかし、いつも音源通りのソロを弾くギタリストだって少なくない。「CDと同じソロをライブでも聴きたい」というファンも存在するからだ。では、浮雲の考えはどういうものなのか?
「正解を決めると不正解が出てきてしまう。(毎回違えば)何を弾いてもミスにならない」(浮雲)
名言、来た! あと、「覚えるのが面倒」という理由も彼の中にはあるようだ。何しろ、プリプロ(レコーディング前の下準備)で弾いたフレーズが良かったため、「あれ、もう1回やって」と椎名がリクエストしても「覚えてないから聴かせて」と浮雲が“過去の自分”をコピーすることもしばしばだというのだから。また、ドラムの刄田綴色曰く、レコーディングなのにギターを弾かないときが浮雲にはあるらしい。本人に理由を問うと「いらないかなあと思って。とりあえず俺、休んどく」と飄々と答えるという。全く自由な人である。
浮雲は収録中も自由だ。ほとんど喋らないし、テンションも低いし、たまに映ると「あれ、寝てる?」と心配させる瞬間さえある。「この人はいつもこう」と言われればそれまでだが、他のメンバーと比べるとなかなかの温度差だった。実は、前回の『関ジャム』が放送された直後、14日に浮雲はツイートを発信。映画『ボヘミアン・ラプソディ』で言葉を発するブライアン・メイの画像をアップしたのだ。このとき、ブライアン・メイが言っていたのは「説明は興ざめだ」というセリフである。これは、浮雲が『関ジャム』に無言の抵抗をしているのか……? 番組と全く関係のない可能性もあるが、タイミングがタイミングだけにファンをザワつかせたツイートだった。
古田「林檎さんの古い言い回しはわざと?」 椎名「そうではないんです」
椎名が手掛ける作詞で特徴的なのは、頻出する古めかしい言い回しだ。筆者も以前から気になっており、「どこか中二っぽい」とネガティブな印象を持つこともあった。椎名林檎のファンである古田新太が本人へ単刀直入に質問した。
「でもあれ、絶対わざとですよね? 林檎さんは(言葉を)選んでますよね、そういう風に」(古田)
椎名はこの読みをきっぱりと否定した。違う理由があると説明するのだ。
「メロディーの緩急があって、『ウワァー!』と長く伸ばすところにどんなメッセージが乗るべきか。プロット自体は決まっているんですね。難しいのはイントネーション。『今』という言葉を『居間』と言ってしまうと、リビングのことになっちゃう。だから、(ニュアンスが)ひっくり返るものが連続して来ると意味がわからなくなっちゃうんです。そういうことが起こらないようにする、イントネーションのパズルが大変です。だから、そんなに悪意(意図)とかはないんですよ(笑)」(椎名)
至極、音楽的な理由だと彼女は説明した。それは理解できる。作詞の方法としては桑田佳祐に近い気がする。では、古典的な言い回しはどうなのか?
「メロディーの音符の数で、もう1音節歌いたいけど『だよ』『だ』『さ』とか余計な言葉が欲しくないとき、1つ音節を増やすためにちょっと古めかしい表現を使うことはあります。そんなに古っぽいタッチにしたいわけではないです」(椎名)
確かに、その理由もあると思う。ただ、本人は認めなかったが、古田の言うように“古典的”を意識した部分はやはりあると思うのだ。椎名は今回、林檎の従妹でアナウンサーの「椎名てく乃」を名乗って登場した。響き(「テクノ」)を西洋から持ってきて、それを芸妓風の名前に変換するのはいかにも椎名林檎的だ。
そして、常田にも作詞時に考える方向性があるようだ。
「俺はそんなに言葉がないので、レディオヘッドよりはオアシス。オアシスみたいなアホっぽい感じというか(笑)、愚直な感じ? 愚直にストレートになっちゃいますね」(常田)
前回放送時にインパクト大だった予告映像での「レディオヘッドよりオアシス」発言は、歌詞についての文脈だったのか……。音はデーモンが好きだけれど、歌詞はオアシス寄りの常田。「飛行艇」の「この時代に飛び乗って 今夜この街を飛び立って 大空を飛び回って 命揺らせ」という愚直なメッセージ性は、なるほど、どこかオアシスっぽい。
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