新型コロナの店舗閉店ラッシュの裏側で…総務省「2020年、ネットショッピングと電子マネー躍進」の影響も?高齢層約20%増加
#総務省 #新型コロナ #電子マネー #通販業界
新型コロナウイルスの感染拡大で不要不急の外出禁止、飲食店等への休業要請などが実施されたことにより今、人々の消費行動は大きく変化した。総務省が発表した2020年の家計消費状況調査年報によると、同年にネットショッピングを利用した世帯の割合は、48.8%と約半数に及んだ。
同年報によれば、2人以上の世帯(以下、すべて2人以上の世帯)でのネットショッピングを利用した世帯の割合は、19年から6%ポイント上昇し、48.8%となり10年前(2010年)の19.7%から29.1%も上昇した。ネットショッピングの利用世帯割合は、12年に20%を超え、17年に30%を超えたが、新型コロナの感染拡大により、利用世帯割合の増加に拍車がかかった。
1カ月平均の支出金額1万6339 円と前年比で14.0%も増加した。新型コロナの影響を大きく受けた「旅行関係費」が 3407円から1647円と同51.7%も減少、同様に「チケット」が684円から313円に同 54.2%と大幅な減少となった一方で、「旅行関係費」と「チケット」を除く全ての項目で増加となった。
特に、「食料」は1986円から3097円、「家電・家具」は1251円から1950円と共に前年比55.9%のという最も高い増加率となった。
世帯主の年齢階級別には大きな特徴が現れた。前年比では全ての年齢階級で増加となったが、特に70歳以上世帯では、前年比23.4%という大きな増加を示した。
<年齢階層別の利用金額と増加率> | |||
年齢階層 | 2019年利用額 | 2020年利用額 | 増加率 |
40歳未満 | 2万1179円 | 2万4279円 | 14.6% |
40~49歳 | 2万0417円 | 2万3606円 | 15.6% |
50~59歳 | 2万0925円 | 2万2187円 | 6.0% |
60~69歳 | 1万3046円 | 1万5098円 | 15.7% |
70歳以上 | 6144円 | 7583円 | 23.4% |
支出のうち最も増加率が高かった「食料」の内訳では、ネット注文により飲食店から提供される宅配に加え、ネット予約で外食した場合も含まれる「出前」が180円から356円に前年比97.8%という“驚異的な”増加率となった。利用金額は2019年から倍増したことになる。次いで「食料品」は1411円から2181円と同 54.6%の増加となった。
世帯主の年齢階級別では、支出金額と同様に70 歳以上が大きな伸びを示した。
<年齢階層別の食料利用金額と増加率> | |||
年齢階層 | 2019年利用額 | 2020年利用額 | 増加率 |
40歳未満 | 3216円 | 4489円 | 39.6% |
40~49歳 | 2873円 | 4496円 | 56.5% |
50~59歳 | 2604円 | 3949円 | 51.7% |
60~69歳 | 1809円 | 2881円 | 59.3% |
70歳以上 | 939円 | 1601円 | 70.5% |
20年にネットショッピングと同様に、大きく利用率を伸ばしたのが「電子マネー」だ。
電子マネーを保有している世帯の割合は2019年の62.4%から69.2%と前年比で6.8%ポイント上昇した。
電子マネー保有世帯は10年には36.5%だったが、12年に40%を超え、16年に50%を、19年に60%を超えた。20年には69.2%と70%に近づいており、急速に普及している。
この背景には、19年10月からの消費税率の引上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業が後押ししたと考えられている。電子マネーを利用した世帯の割合は、57.5%と前年比4.3%ポイント上昇した。
電子マネーの利用世帯を世帯主の年齢階級別では、以下のようになっている。
<年齢階層別の利用金額と増加率> | |||
年齢階層 | 2019年利用額 | 2020年利用額 | 増加率 |
40歳未満 | 64.0% | 65.9% | 1.9% |
40~49歳 | 66.9% | 70.3% | 3.4% |
50~59歳 | 66.9% | 70.9% | 6.0% |
60~69歳 | 52.0% | 57.4% | 5.4% |
70歳以上 | 37.9% | 52.0% | 3.9% |
1カ月平均の電子マネーの利用金額は2万4790円と前年比20.5%の増加となった。2010年に9588円と1万円に満たなかった利用額は、2011年に1万円を超え、2015年に1万⑤000円を超え、さらに、2019年に2万円を超えた。2020年には2万5000円に迫っている。
世帯主の年齢階級別でも全ての年齢階級で2万円を超えた。
<年齢階層別の利用金額と増加率> | |||
年齢階層 | 2019年利用額 | 2020年利用額 | 増加率 |
40歳未満 | 1万7313円 | 2万1242円 | 22.7% |
40~49歳 | 1万9823円 | 2万4213円 | 22.1% |
50~59歳 | 2万1400円 | 2万0792円 | 20.5% |
60~69歳 | 2万3045円 | 2万6426円 | 14.7% |
70歳以上 | 1万9084円 | 2万3976円 | 25.6% |
このように新型コロナは、特に高齢者層でネットショッピングや電子マネーの利用を促進するという現象を引き起こした。
新型コロナ禍はネット販売を促進し、実店舗販売を衰退させている。新型コロナが収束しても、この傾向に変化はないのだろうか。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事