庄村聡泰、イカのモニュメント”で揺れる能登町の新名物を実食! 「文脈としては成立している、が…」
#地方創生 #能登町 #ショウムライター
5月6日付の米ニューヨーク・タイムズのネット記事で「町民の一部は臨時交付金のより良い使い道がなかったのか、疑問視している」とまで書かれた挙げ句、追随するように国内のワイドショーでも散々に批判された石川県能登町に設置された”イカのモニュメント”。
その火付け役となった北陸中日新聞の記者が、プレジデントオンラインに寄せた記事には「コロナ対策の臨時交付金でなぜイカの像に3000万円もの大金をかけるのか」と記者自身の”お気持ち”が疑問として表されたように、懐疑的な目を向けるメディア関係者も多かったようだ。
しかし、能登町に交付された「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」は約8億円とされる。
北陸中日新聞を始めとする”イカ像”にたいして批判的なメディアは3000万円という金額ばかり切り取るが、デイリー新潮が5月10日に配信した「コロナ交付金2500万円で『巨大イカ像』海外メディアも注目で制作した能登町は困惑」という記事でも能登町ふるさと振興課の担当者は「国からの臨時交付金の約8億円の中から、感染拡大防止や雇用維持などのための予算をしっかりと確保した上で、一部をモニュメントの設置費に充てました」と語っている。
日刊サイゾーでも「地方創生」の専門家である白鴎大学の小笠原伸教授に取材を行い、能登町の取り組みについて伺ったが、地方創生の裏側にある重たい課題を推し量る形となった。
その後、東京五輪が近づくに連れて、世間の関心も”コロナと五輪”に向けられていった。日刊サイゾーでは続報のない“コロナとイカと地方の問題“に、能登町が新名物としてECサイトなどで強力にプッシュしている「イカ丼」を、[Alexandros]を勇退したミュージシャンの庄村聡泰(以下サトヤス)さんが実食の上、改めて考えてみた。
“5年先の視点”で見たら”イカ像”は…
――今回、“イカ像”が問題として取り沙汰されている石川県の能登町ですが、改めて調べてみると”イカの町”だということを全面的に押し出しています。“イカ像”が設置された「イカの駅つくモール」という観光交流施設は、かなり丁寧なオンライン販売サイトなども作っていまして。
そこで販売されている「味付き船凍イカ丼」を取り寄せてみたのですが、しっかり第三者に食べてもらったほうがフラットな意見が聞けると思い、味という曖昧なものをうまく言葉にしてくれそうなサトヤスさんにお越し頂いたんです。
サトヤス “イカ像”の騒ぎは知っていたんですけど、そこまでイカ推しの町だったってのはよく知らなかったんで、ちょっと驚きましたね。けど、どうすればこの手の事業って評価されるんですかね。
今回の東京五輪もそうですけど、長野五輪とかのためにわざわざ施設を作って、毎年の維持費で赤字垂れ流しているほうが、”イカ像”なんかよりはるかにやべーことしているんじゃないかな。能登町はちゃんと”文脈”ありきで”イカ像”を作ったと思うんですけど、ほかのいわゆる“箱物”なんかは文脈がない思いつきで、巨額のお金が使われている気もあって。
――今回の東京五輪のために作られたアクアティクスセンターなど5施設では、すでに赤字が出ているなんて話もありますもんね。五輪が終わった後に”文脈”を健全な状態で続けるには、巨額とも言える維持費が必要になりそうです。
サトヤス そういう意味では能都町の場合は、文脈の”最初のパンチ”は成立してしまっているのではないかなと。取り沙汰されるときはすごく多くの批評的な意見があがっているということは、伝わっている人が多いことの証な気はしますね。能登町の”イカ”をきちんとPRできているわけですから。
未来を予知するのは難しい部分もあると思うんですけど、 5年先とか先の視点で見てみると、”イカ像”自体はそんなに悪いものでも無い気がしますよ。むしろ、能登町の”イカ像”を建てようと思った人たちが「批判がきたらもうけもん」と思っているのであれば、自治体にすごい若い力を感じますよね(笑)。ま、仮にそういう考えがあったとしても表に出てくることはないでしょうけど。
――そうですね。炎上することも含んでの考えだったとしたら、踊らされたのはメディアのほうですからね。少なくともシステムとモニュメントを作って、さらにはこういう商品作って街をPRして、コロナがおちついたらみんな会いに来てねというのは、戦略としての今後を見てみたいなとも思います。では、そろそろイカの町、能登町の新名物「味付き船凍イカ丼」を味見していただきましょう。
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