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『着飾る恋』実はプロデューサーが暴走していた!? 奮闘の末に生まれた「令和のラブストーリー」完結

『着飾る恋には理由があって』
『着飾る恋には理由があって』公式サイトより

  6月22日、川口春奈主演の『着飾る恋には理由があって』(TBS系)が最終回を迎えた。ビデオリサーチによる世帯平均視聴率は振るわなかったものの、TVerのランキングでは上位に入っていることも多く、SNSでは大いに盛り上がりを見せたドラマとなった。

 最終回放送後には、主人公の真柴くるみを演じた川口、藤野駿役を務めた横浜流星、また監督の塚原あゆ子とプロデューサーの新井順子がラジオ番組『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)にゲスト出演。撮影裏話が満載の“公開打ち上げ”だったが、ここでプロデューサー・新井の暴走エピソードが披露された。日頃からいろいろなアイデアを出すという新井だが「胸キュンネタ」がことごとく暴走ぎみで、塚原からダメ出しの嵐だったというのだ。

「これはないと思ったシチュエーションは?」と尋ねられた塚原は、いくつか具体例を挙げた上で「全然ストーリーと関係ないこと言うんですよ。『どうねじ込むの?』っていうね」と嘆息。しかしすべてのネタがダメだったわけではなく、第2話で話題を呼んだ冷蔵庫前のキスシーンの発端は新井のアイデアだったそう。塚原は「ふいにという世界は理解できるんだけど、それまでがないのに急にチュウって書いてあって。2話でいきますとだけおっしゃるけど、前は書いてないから『ええ?』って」と困惑した当時を回想。「みんな好意的に受け止めてくれたからセーフだったけど、やらかしたら大変。緊張しました」と心境を語った。今となっては笑えるエピソードに、新井も「出会ってから時間がかかるじゃないですか。時間がないので早く(チュウ)してって」と、視聴者を一気に引き込みたかったという思いを明かしていた。

 ドラマは総合芸術であるというのはよく言われる話だ。冷蔵庫前の「最速キス」という突拍子もないアイデアからドラマを代表する名シーンが生まれたことを思えば、最後まで実現しなかった多くの非常識な提案もムダではなかったのだろう。めげずに出される膨大なネタ、それをまとめ上げた脚本家、映像化した監督や俳優陣の素晴らしい化学反応に大きな拍手を送りたい。

 『着飾る恋』が見せてくれたのは、令和のラブストーリーだった。最終話、駿はキッチンカーで全国を回る新しい夢を見つけ、真柴は会社を退社して東京でバイヤーを目指すと決める。スマホやSNSで物理的な距離は関係なくなった世の中であるにもかかわらず「遠距離=別れ」というベタな発想はいまだに存在するが、『着飾る恋』ではそうならない。真柴と駿は離れる寂しさを感じながらも、好きだから続ける努力をしていく。

 夢のために何かを諦める道もあるし、すべて実現するために努力する道もある。夢に挫折することも、遠距離恋愛も結婚も離婚も、誰も口出しできないその人の選択だ。そのメッセージは、元夫との復縁を断った香子(夏川結衣)の<私には私がいるから平気>というセリフに象徴されている。恋愛ドラマとしての胸キュンを散りばめながら、登場人物たちが時に悩みながら自分の選択に胸を張って生きる『着飾る恋』は、それぞれの価値観を生きる現代人を勇気づける珠玉のドラマだった。

■番組情報
火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』
TBS系 毎週火曜日22時~
出演:川口春奈、横浜流星、丸山隆平(関ジャニ∞)、中村アン、山下美月(乃木坂46)、高橋文哉、向井理、夏川結衣、飯尾和樹(ずん)、赤ペン瀧川、木本夕貴ほか
脚本:金子ありさ
演出:塚原あゆ子、棚澤孝義、府川亮介
プロデューサー:新井順子
音楽:神山羊、兼松衆、田渕夏海
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikazarukoi_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/06/23 16:52
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