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禁忌なオンナのセレブな回想録【1】

タブーな出来事すら私の栄養! セックステープから法曹界へ――キム・カーダシアンの人生

残念さすら糧にするタブーなき女の政治活動

タブーな出来事すら私の栄養! セックステープから法曹界へ――キム・カーダシアンの人生の画像3
ホワイトハウスでトランプ大統領(当時)と対面し、刑務所を出た後でも服役囚が確実にセカンドチャンスを得られるようコメントしたキム。これで“キムは生理的に無理層”にも変化が。(写真:Getty Images)

「有名なことで有名」と揶揄されてきたキムだが、この“有名性”の活用こそ、SNSが普及した10年代に大儲けできる金脈、インフルエンサー・マーケティングだった。ビジネスモデル上、キム、ひいてはカーダシアン家が「お騒がせセレブ」であることもプラスに働く。別項の「修羅場傑作5選」にあるように、くだらない話題からシリアスな事件まで毎日のようにメディアやSNSで注目を集めているのだから、自然と彼女たちの新商品も多くの人々の目につき、即座に完売していくのだ。話題性のマッチポンプともいうべき状況を巻き起こすキムのことを、ワシントン在住のジャーナリスト/翻訳家の押野素子氏はこのように評している。

「キムは注目を浴びるためなら、転んでもただでは起きないどころか、わざわざヘッドスライディングして起き上がる、くらいの根性を出してくる人なので、リアリティ番組/SNS時代の寵児だと思います。彼女が関わっているビジネスには一切お金を落とす気にはなりませんが、何かしらいつも話題になっていますし、SNSを見ていたら、まったく無視することはできない情報拡散力には、一目置かざるを得ないです」

 日本ではなかなか想像しがたい話題の提供、それをキープしたままの一流セレブ化は「キムの残念な点」に回答する同氏の見解からもうかがえる。

「アメリカのエンタメ界で、“残念”とかそんな言葉を超越する地位にのし上がってしまったので、残念とさえ思わせてもらえないような。ずーーーっと騒音を聞かされて何も考えられなくさせられている感じがします。そんなわけで、残念なところは思いつきません。むしろ評価できると思う点で、(カニエとのロマンスで)黒人男性に対する偏見が若干薄まったかもしれない、ということが挙げられます。『黒人と付き合うのがクール』というトレンドをある意味作ったともいえるので、ワシントンDCでも白人女性と黒人男性のカップルの数がハンパなく増えました」

 リアリティショーとインフルエンサーの本場、アメリカらしい物語のようだが、キムの出世街道はまだまだ止まらない。19年には、なんとホワイトハウスで演説を行ってみせたのだ(次頁写真)。これはもともとキムが法曹を目指し始めたことが発端となっている。黒人であるカニエとの子どもを育てるなか社会システムの不平等を痛感した彼女は、大量投獄問題など、人種差別問題との関わりも根深い刑事司法改革をミッションに掲げ、本格的に弁護士を志すようになったのだ。その一環として、非暴力犯罪で終身刑を言い渡されていた黒人女性の減刑を求めるためドナルド・トランプ大統領(当時)に連絡を取り、18年、釈放の恩赦を引き出させた。その後もトランプ政権下で刑務所改革に努め、官邸でスピーチするほどの活動家ぶりを発揮。同時に、政権で重役を担う大統領の娘夫婦との電話まで、開けっぴろげに自分たちのリアリティショーで放送して視聴率を稼ぐのがカーダシアン流である。しかも、栄誉と責任が伴うはずのホワイトハウス演説すら、三女クロエと義兄が飼い犬をドッグショーに出場させるために奮闘するおバカ挑戦物語と一緒くたにされて世に放たれた。

 少々不謹慎な感すらあるが、目立つのが大好きなトランプ前大統領自体がリアリティショー『アプレンティス』のスターでもあるため、お似合いといえばお似合い。人によっては悪夢のようなタッグに思われたかもしれないが、党派はどうあれ、キムの刑務所改革を評価する人は多い。彼女の優れている点は「時代によってイメージを変化させるセルフプロデュース能力」にあると、前出の渡辺氏が続ける。

「これまで波瀾万丈な人生をプレゼンしてきたキムですが、ここ数年は弁護士を目指すかたわら、ソーシャル・ジャスティスの問題に正面から向き合うなど、彼女の社会的ポジションやイメージは確実に変化が起きていると思います。時代の流れによって個人が変化・成長していくことは必然的だと思いますが、キムほどドラマチックにそれをやってのける人物はいないのではないでしょうか」

 社会正義活動家の一面も携えたキムは、さらに政治の世界にも携わることになる。夫であるカニエが10億円以上もの資金を投じた昨年の大統領選挙出馬が要因となっているが、それは双極性障害であり、投薬治療を行わない姿勢を明かしていたカニエの情緒不安定な行動が見られた頃でもある。同時期、彼はキリスト教信仰を深めたといわれ、それまでのポルノ文化礼賛姿勢とは打って変わって、肌を露出するドレスを着用する妻に苦言したり、娘の化粧や薄着を禁止したりするなど、家庭環境も保守化させていた。

 選挙レース中には、キムが長女を妊娠した際、人工中絶について話し合った過去を涙ながらに激白。その後、ツイッターで「キムに監禁されそうになっている」「ずっと離婚したかった。彼女は刑務所改革にかこつけて(同様の活動を行う人気ラッパー)ミーク・ミルとホテルで会っていたから」など、過激な投稿を連投。対するキムは、精神疾患を抱える家族を支えるツラさ、そしてカニエを守ろうとする姿勢を表明。SNS上では、カニエへのバッシングや揶揄が減り、精神疾患への理解が促される形となった。前出の押野氏によれば、世間でも「キムに対する同情が集まっていった」という。そして21年、2人の離婚が報道された。

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