コロナ禍で苦しむ非正規雇用の実態が浮き彫り「休業手当支給されなかった」50%以上―連合発表
#新型コロナウイルス #日本労働組合総連合会 #休業手当
新型コロナウイルスの感染拡大が、非正規雇用者に対して大きな悪影響を及ぼしていることが明らかになった。日本労働組合総連合会(連合)の調査によると、「勤め先が休業・時間短縮していた人のうち、休業手当が支給されなかった」との回答が51.7%にも上った。
連合は2021年5月17日~5月19日の3日間、全国の18歳~65歳の非正規雇用者1000人にアンケート調査を行った。
その結果、新型コロナ禍による勤め先の対応では、「出勤日数および労働時間削減」は 22.5%、「在宅勤務(テレワーク)の実施」は 12.4%、「休業などによる自宅待機指示(業務に従事しない)」は 9.8%、「時差出勤の実施」は 8.5%、「業務内容の変更」は 3.2%実施されていた。
業種別では、「出勤日数および労働時間削減」は宿泊業、飲食サービス業で52.9%、生活関連サービス、娯楽業で34.7%が実施、「在宅勤務(テレワーク)」は情報通信業で47.1%、公務で23.3%が実施、「休業などによる自宅待機」は宿泊業、飲食サービス業29.4%が実施した。
次に、同じ業務に携わる正社員・正職員に、新型コロナ禍の影響を受けて勤め先が行った対応について、「雇用形態による違いがあったのか」を訊ねたところ、出勤日数および労働時間削減では「非正規と正規の両方が対象だった」が 66.0%、「正規だけ対象だった」が 1.9%、「非正規だけ対象だった」が 32.1%となった。
また、「休業などによる自宅待機指示)」では「両方が対象だった」が 73.5%、「正規だけ対象だった」が 4.4%、「非正規だけ対象だった」が 22.1%となった。「在宅勤務(テレワーク)の実施」では「両方が対象だった」が84.2%、「正規だけ対象だった」が10.5%、「非正規だけ対象だった」が5.3%となった。
「時差出勤の実施」では、「両方が対象だった」が88.1%、「正規だけ対象だった」が4.5%、「非正規だけ対象だった」が7.5%に、「業務内容の変更」では、「両方が対象だった」が78.9%、「正規だけ対象だった」が10.5%、「非正規だけ対象だった」が10.5%となった。
衝撃的な回答だったのは、休業や時間短縮期間中の休業手当の支給だ。回答者410人が新型コロナ禍において勤め先が休業や時間短縮(一時的なものも含む)をしていたが、その間、休業手当の支給では、「休業手当は支給されなかった」はが51.7%にも上った。非正規雇用者の半数以上は休業手当が支給されなかったと回答している。
さらに、「休業手当は6割未満」が 9.5%、「休業手当は 10 割支給された」が 20.5%、「休業手当は 6 割以上支給された」が 18.3%と、労働基準法の規定のとおりに休業手当が 6 割以上支給されたケースは わずか38.8%に過ぎなかった。
業種別では、「休業手当は支給されなかった」のは医療、福祉が74.3%と最も高く、次いで卸売業、小売業が61.2%、サービス業が53.3%となっている。一方、「休業手当が 10 割支給された」のは、サービス業が最も高く、20.0%、次いで製造業が19.4%、卸売業、小売業が16.4%となっている。
さらに、勤め先から受けた労働契約内容の変更では、「契約期間の短縮(途中解雇)」が 11.7%、「次期契約更新の変更(雇止め)」が 9.7%、「希望退職への打診(退職勧奨)」が 9.1%、「賃金の減額」が12.4%となっている。20%以上が途中解雇や雇止めを受け、さらには退職勧告や賃金の減額が20%以上で行われていた。こうした労働契約内容の変更について、3割以上が「納得できない」と回答している。
その結果、実際にコロナ禍で収入が減少したことで生活への支障があった364 人に対策を聞いたところ、「生活費の切り詰め」が55.8%に及び、次いで、「貯蓄の取り崩し」が31.0%となった。
新型コロナ禍により、非正規雇用者の5割以上が休業手当を受け取れず、さらに、途中解雇や雇止めは2割以上に、賃金の減額も1割以上に上っている。政府は、非正規雇用者に対する対策をもう一度見直す必要がある。
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