有名芸能人の「アイコラ」タペストリーが販売中!? Amazonで違法商品が蔓延する理由
#Amazon #違法
現行法では太刀打ちできない「完全に抜け穴」
一方で、こうした無許可のアイコラ商品などが販売されていることで、Amazon側の法的な責任が問われる可能性はないのだろうか? 山岸純法律事務所の山岸純弁護士は、こう語る。
「違法商品を売るという意味では、アイコラ商品の販売は重火器や麻薬を売るのと同じです。そうした商品の販売業者が正犯として罪が成立すれば、売る場を提供したAmazonも違法行為を助長したということで『幇助罪』が成立します。窃盗犯の逃亡を助けたら窃盗幇助罪、殺人を手伝ったら殺人幇助罪というように、それぞれの罪に対して幇助罪があり、この場合は著作権法違反という刑罰に対する著作権法違反幇助罪です。
ただ、幇助罪は故意がなければ適用されません。本来は『チェックしていなかった』とは言えないし、大量の商品が取引される中でAmazonがどこまで認識しているかがポイントになります」
アイコラ商品の販売業者は住所を見る限り、中国の業者が多く見受けられる。在庫を抱えない受注生産なのか、商品の発送までに最低2週間はかかるアイテムが多い。
また、日本の雑誌などのグラビア、アニメや漫画のイラストを切り抜きプリントした商品を見る限り、一般的な感覚としては販売者側には著作権侵害を適用できそうなものだが……。
「著作権は日本国内だけで発生し保護される権利のため、国外の人による著作権侵害あったとしても著作権法の適用対象者ではないので、処罰できません。日本の雑誌のグラビア写真は日本の出版社の著作なので、出版社が版権を持つ写真を他の人が勝手に使い、日本国内で商品を製造・販売すればアウトです。しかし、中国の業者が同じ写真を使って中国で商品を製造・流通させても、その時点では違法にはならないんです」(同)
プラットフォーマーであるAmazonの責任も微妙、海外の販売業者の罪も問えない……。となると、こうした商品のコアターゲットである日本国内の購入者はどうなるのだろうか?
「日本国内では著作権違反とされるものを国内に輸入すると罪に問えますが、この場合は著作権者がいる日本国内で著作権違反の商品を誰かに譲ったり、売ったり、“頒布”する目的の有無がポイントになります。転売目的などが認められるかどうかは期間や量で判断され、いくら『自分のために買った』と主張しても、不自然な量を買えば頒布目的と見なされる可能性もありますが、自分で使うだけなら基本的には取り締まれません」(同)
つまり、現行の法律ではほぼ太刀打ちできないとのことで、完全に抜け穴のようだ。
「販売業者が自分の販売サイトなどでこうした商品を取り扱うと現行法でも引っかかる可能性もありますが、Amazonを介しているところも悪質な点ですね。有名人の肖像などは、それ自体がお金を稼ぐ能力を持っており、これをパブリシティ権と言います(簡単に言うと、芸能人の顔写真などが印刷されたグッズや商品は売れやすい、ということです)が、現状できることはタレントの所属するプロダクションの持つパブリシティ権の侵害として、Amazonに異議申し立てをし、個別に差し止めてもらう程度です。
もっとも、著作権法は悪質業者が法的な抜け穴を見つけ、その都度、新しい規制をつくることを常に繰り返していて、しょっちゅう改正されます。著作権法の改正って、けっこう素早いので、すぐに法改正が議論されることになると思いますよ」(同)
今のところ法的な罪には問われないとはいえ、こうしたアイコラ商品やパチモノ商品の購入は倫理的に推奨できないことは明らか。くれぐれもご注意を。
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