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有名芸能人の「アイコラ」タペストリーが販売中!?  Amazonで違法商品が蔓延する理由

有名芸能人の「アイコラ」タペストリーが販売中!?  Amazonで違法商品が蔓延する理由の画像1
Amazonより

 
 4月、ネット通販サイトのAmazonに、日本人タレントの顔写真を他のヌードモデルの裸の画像に合成したようなアイコラ商品が溢れていることが、SNSなどで話題になった。タペストリーやフェイスタオル、マグカップなど、アイテムの種類はさまざまだが、製造元や販売業者はすべて海外の企業で、6月現在もこれらの商品が消える気配は一向にない。この動きは全国紙でも報じられはじめ、6月20日付の「 産経ニュース」 によると、「政府もアマゾンに聴取するなどの検討に入った」という。

 かねてよりAmazonでは人気アニメやマンガのキャラクターイラストなどを使った怪しげな商品が販売され、本来の権利者の許可を得ない非公式グッズの数々については問題視もされてきた。今回も「〇〇(芸能人の名前)+タペストリー」などとサイト内で検索すると、山のように違法性の高そうな商品がヒットする。

 なぜ、Amazonほどの世界的なECサイトで、このような野放図な状況が続くのか? 専門家たちに話を聞いてみた。

後手に回っているAmazonの対策

有名芸能人の「アイコラ」タペストリーが販売中!?  Amazonで違法商品が蔓延する理由の画像2
Amazonより

「Amazonは今、アメリカの議会や規制当局から圧力をかけられているため、こうした違法商品を販売する悪質業者の商品が売れて手数料が入る経済的メリットより、信用が失われて正規ブランドに撤退されるデメリットのほうが大きいと考え、対策を取っている段階だと思います」

 そう語るのは、『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)の著者で、株式会社ニューズフロントでフェローを務める小久保重信氏。

 アメリカ本国のAmazonでは、製品の安全書類や一部の商品ではサンプル商品の提出を義務化し、自然言語処理AIによる監視など、偽造品や安全基準不適合品の取り締まり強化を図ってきた。最近では新たに1万人以上の人手を雇い、アナログな人海戦術にも乗り出しているという。

「昔から日本や欧州各国では出品業者の社名や住所の公表を義務付けていましたが、今ではアメリカでも出品業者の身元確認の強化が進んでいます。出品者にハガキを送り、期日までにハガキに記載されたコードを出品者サイトで入力させたり、船の積み荷やAmazonの物流倉庫でのチェックなどの水際作戦も行っていますね。また、偽造品に関しては『偽造品犯罪対策チーム』という部署を設置し、ヴァレンティノやフェラガモといった高級ブランドメーカーと共同でそうした業者に対する民事訴訟も起こしています」(同)

 しかし、「直販」ではない外部の出品業者が販売を行う「マーケットプレイス」の取り引き額はすでにAmazonの総取引り額きの約6割を占め、今後も拡大が見込まれている。こうした流れの中Amazonの対策は全く追いついておらず、偽造品や安全基準不適合品の撲滅に注力するものの、後手に回っているのが現状のようだ。

 実際にコロナ禍のアメリカでは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)やアメリカ食品医薬品局(FDA)の推薦を謳う、怪しいコロナ感染防止グッズが多数出品される事態もあったという。

「Amazonのマーケットプレイスは匿名性のSNSに似ていて、完全にイタチごっこになっていますね。業者も摘発されたら代表者や住所を変えるだけです。アメリカ内部にも中国にもシステムをすり抜ける業者が多くはびこってしまっています。特に米企業が開発する日本語AIの言語処理精度は比較的低いでしょうから、対策は余計難しい側面もあるのかと思います。Amazonなどのインターナショナル企業にとって、言語処理AIの技術開発は英語やスペイン語など使用人口の多いものを優先したほうが、費用対効果が高いとも考えられます」(同)

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