『関ジャム』東京事変を特集! 椎名林檎から「歌入れしづらい」、浮雲から「ギターはいらなくなる」とイジられる亀田誠治
#椎名林檎 #東京事変 #King Gnu #常田大希 #関ジャム
6月13日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)は、10年ぶりのオリジナルフルアルバム『音楽』を9日にリリースしたばかりの東京事変を特集。しかも、今回は「変ジャム」(東京事変の「変」から取った?)と題した特別バージョンだ。
番組が始まると、いきなりMC席に椎名林檎がいてびびった。というか、今回は椎名林檎の従妹でアナウンサーの「椎名てく乃」という設定のようだ。彼女だけでなく、他の事変のメンバーも何かしらの設定に則って出演している。なぜ、こんな余計なことを……。確かに、女子アナのコスプレをする椎名はエロくて惹かれたが、友近のやる水谷千重子じゃないんだから。奇をてらいたいのはわかるけども、通常の『関ジャム』のフォーマットでやったほうが興味深い話が引き出せる気がするし、何より全体的にスベっていた。せっかく豪華メンバーが揃ったのに、妙な設定のせいで音楽の話題が始まったのは開始13分を過ぎた辺りからだった。スペースシャワーTVでならいいけども、完全に内輪(信者など)向けの世界観だ。
ただ、King Gnuの常田大希と勢喜遊が出演していたのは驚いた。2人とも事変メンバーから直接オファーを受け、断れなかった模様。そうでもなければ、この手の番組に出る常田は考えづらい。King Gnuの曲やライブに触れると、事変から影響を受けていることは明らかだ。東京事変が活動をスタートした頃、彼らはまだ中学生だった。
「曲の展開やサウンドでかなりプログレッシブなことをされている。メインストリームで、これだけの規模で鳴らせているバンドって他にいないんじゃないかなって」(常田)
メインストリームで行うという点が、ミュージシャンにとって最も難しいはずだ。それができているから尊敬に値する。常田が何かを話す際、椎名は毎回妙に嬉しそうだった。
スタジオとライブのギターを比較する『群青日和』は選曲ミス?
各メンバーにフォーカスし、1人1人の個性を掘り下げた今回の企画。地上波で椎名以外のメンバーにもスポットライトが当たるのは、なかなかない機会だと思う。この辺りは、さすが『関ジャム』だ。
まずは、椎名が師匠と仰ぐベースの亀田誠治から。彼のベースの特徴は、歪ませた音である。いつも、亀田のベースはブインブイン鳴る。音を歪ませたベーシストといえば、ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)やフリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)が思い浮かぶが、亀田の歪みは2人に勝るとも劣らない。まるで、ギターみたいに歪ませていくのだ。事実、音を歪ませ過ぎたため、他のレコーディング現場で驚かれたこともあるらしい。良く言えば「ベースが歌っている」と表現することもできるが。
亀田 「レコーディングでは、椎名林檎さんがヴォーカル入れをしているとベースが歌に近寄って来ると。歌のところまで忍び寄って来て、『歌を追い越すんじゃないか……?』という気持ちになったと聞いたことがあります」
椎名 「そうですね、すごく歌入れしづらいベース(笑)! 土地の取り合いで『こっちに来るな』って。普通、ヴォーカリストがキープする音域で(ベースが)歌い上げるので」
「ヴォーカルとベースで土地の取り合い」とは、絶妙な言いようである。さらに、ギタリストの浮雲は亀田のベースに対し、率直な印象を述べた。
「まあ、ギターはいらないんじゃないかと……」(浮雲)
「歌入れしづらいベース」「ギターはいらないんじゃないか」など、文句の言い方がいちいち面白い事変メンバーたち。ただ、あまり音を歪ませない浮雲と歪ませる亀田で、ギターとベースのバランスは実はバッチリ取れている。
「事変のスタイルがこのメンバーじゃないと成立しないっていうのは、魅力の1つかもしれません。『あなたは行きたい? そしたら、私は下がります』、『俺はさっき行った』『じゃあ、私行きますよ』みたいなこととか。でも、そんなことさえも言ったのは(今が)初めてくらいで」(伊澤)
メンバー同士でさえ言ったことのない話が、今回は聞けたのだ。なんて、貴重な機会なのか。プロが集まっての音楽談義だから内容がやっぱり面白い。
続いては、ギターの浮雲について。現在、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)にも出演中の浮雲だが、本職はもちろんミュージシャン。彼のギターは独特で謎過ぎるのだ。東京事変で肝を握っているのは浮雲のギターと伊澤一葉のキーボードという印象が筆者にはある。同じギタリストとして常田は浮雲をこう評した。
「ギタリスト的な伴奏とかソロとか、本当に普通に弾かない。全部のアプローチが普通じゃない」
「若いギタリストはたぶん、みんなリスペクトしてるんじゃないか……っていうくらい、浮雲さん以前と以降で結構変わった。J-POPの曲に対するギターのアプローチにかなり影響を与えている人だと思います」(常田)
常田がここまで言うのだから相当である。「全部が普通じゃない」という評価は浮雲のギターを表す言葉としてかなり的確。さらに、勢喜が続いた。
勢喜 「あれだけデカい会場で、あれだけオリジナル版と違うアプローチを堂々と弾ける勇気。この規模のバンドでそれをやってる方って、なかなかいないと思うんですよね」
椎名 「飽きっぽいんですよ、全員」
伊澤 「全員そうなんです。初めて出会うことに対し、我々は奮起するっていうか」
椎名 「新鮮じゃないと、『こちらが飽きてるということは、お客さんもいずれ飽きるだろう』というような感じじゃないですかね」
というわけで、実際に浮雲のギターを聴き比べてみよう。番組が用意したのは『群青日和』のオリジナルとライブ、それぞれの映像である……って、ちょっと待て。スタジオでこの曲を弾いたのは、浮雲が加入する前のギタリスト・ヒラマミキオだ。奏者が違うんだから、オリジナルと違ってくるのは当たり前! どうしたんだ、『関ジャム』!?
それにしても、ライブ映像を見て改めて笑ってしまった。メンバー全員、異常に奇抜な衣装を着ているのだ。はっきり言って、メチャクチャ弾きにくそう。双子の弟・闇雲という設定で、浮雲は心境を吐露した。
「兄は必死でやってるみたいですね、変な服着させられたりとか……。たまに、LINEで『もう、ちょっとツラい』って」
格好はともかく、『群青日和』を聴いて感じたのは後続に与えるインスピレーションだった。改めて聴くと、間奏のギターがKing Gnuとほぼそのままなのだ。やはり、彼らは東京事変からの影響が大だ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事