金子茂樹脚本『コントが始まる』は時代に逆行している? 現代的な価値観をあえて描かない理由
#神木隆之介 #有村架純 #菅田将暉 #コントが始まる
土曜ドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)が6月19日の今夜、最終回を迎えようとしている。同作の脚本を手がけたのは、2007年のドラマ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)や第38回向田邦子賞受賞作品『俺の話は長い』(日本テレビ系)で知られる金子茂樹氏。細部まで練られた脚本や演出に加え、若手実力派俳優たちの名演技が視聴者を惹きつけ、“傑作ドラマ”としてSNSを中心に話題を呼んでいる。
『コントが始まる』の主人公は、売れないお笑いトリオと、社会生活に挫折した姉妹の合わせて5人。お笑いトリオ・マクベスを菅田将暉、神木隆之介、仲野太賀、姉妹を有村架純、古川琴音が演じている。
フリーター、実家の跡継ぎ…いやに現実的な売れないお笑い芸人の末路
28歳になっても鳴かず飛ばずのマクベスは、現実と向き合ったうえで“解散”を選んだ。マクベスの初期メンバーである潤平(仲野)は実家の酒屋を継ぎ、プロゲーマーを引退してマクベスに加入した瞬太(神木)は「世界を股にかける冒険王になる」と宣言し、解散後は海外へと旅に出る。かつては日本一に輝いたプロゲーマーが、芸人を経て、冒険王すなわちフリーターになるというわけだ。潤平の方だって、あれほどにもお笑いに情熱を燃やしてきた男が、実家を継ぐという手堅くも地味な道を選んでいる。どちらもいやにリアルだ。
ドラマであれば、現代的な価値観を交えてもっと夢のある物語にもできたはず。しかし、それをしなかったのはなぜだろう。それは、いまを生きる若者に向けた“メッセージ”だったのではないだろうか。
“何でもできる時代”を生きるすべての若者を肯定するメッセージか?
インターネットが普及した現代は、誰もが主役になれる時代だ。スマホさえあれば自分のことをいくらでも世間にアピールできるし、パソコンひとつでスターになることだってできる。だからこそ、誰もが輝いた人生を送らなければいけないような空気が僅かに漂っているのも事実だ。田舎に住んでいるだとか、環境がどうだとか、そんなことは言い訳にはできない。
そんな世の中に息苦しさを覚える若者も少なくないのではないだろうか。自由に生きることが許される時代となったのは素晴らしいことである。ただ、何でもできる時代だからこそ、明確な夢や目標がない人や、社会で輝けていないと感じる人はほのかな罪悪感を覚えているようだ。
『コントが始まる』は、そんな若者のことも肯定するドラマだったのではないか。「輝けなくてもいい」「夢を諦めてもいい」「地味で地道な人生もドラマである」そんなメッセージが込められていたように感じる。いよいよ今夜クライマックスを迎える『コントが始まる』。彼らは最後に、メインターゲットである若者に向けてどんなメッセージを届けてくれるのだろうか。注目したい。
■番組情報
土曜ドラマ『コントが始まる』
日本テレビ系毎週土曜22時~
出演:菅田将暉、有村架純、神木隆之介、仲野太賀、古川琴音、鈴木浩介、伊武雅刀、松田ゆう姫、明日海りお、小野莉奈、米倉れいあ(821)ほか
主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE / Warner Music Japan)
音楽:松本晃彦
脚本:金子茂樹
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/
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