『家、ついて行ってイイですか?』亡き妹の娘を育てる姉。「私はこの子と血がつながっています」
#家、ついて行ってイイですか?
妹が残した子を育てた姉「この子たちがいなかったら死んでいた」
あけぼの山農業公園(千葉県)でスタッフが「インタビューに答えていただくと何かイイことあるかも?」というプラカードを掲げていると、話しかけてきたのは41歳の女性と8歳の男の子の母子だった。「家、ついて行ってイイですか?」と尋ねると、女性は承諾してくれた。
――何人家族ですか?
ママ 「えっと、6人」
――そんなにいるんですか。
ママ 「ちょっとワケありで」
ご家族は他に、ご主人とおばあちゃんと長男、長女がいるとのこと。長男と長女は共に16歳だそうだ。でも、双子じゃない。そして、連れ子でもないという。なのに、同学年。産後、すぐに妊娠して学年が一緒になったパターンか? 事実、4月生まれと3月生まれの兄弟が同学年になるケースは実際にある。
ご自宅に到着すると、そこはかなり大きな一軒家だった。早速、他のご家族も紹介してもらおう。まずは、ご長男から。2004年8月生まれの16歳、なかなかのイケメンである。
続いてご長女の部屋に行くと、こちらも美少女だった。2005年2月生まれの梨央ちゃんは、現在16歳。メイクやファッションからはK-POPが好きそうなパーソナリティが伝わってくる。かなり活発な子なのだろう。はっきり言って、アイドルみたいに可愛いのだ。ちなみに、梨央ちゃんと次男くんは仲が良くないらしい。
次男 「梨央とは仲良くない。いじめてくる」
ママ 「お母さんのように怒っちゃうから、それが気に入らないみたい」
梨央 「ママに小っちゃい頃言われてたように言っちゃうんですよね。『ちゃんとしてほしい』っていうね」
彼女の部屋を見渡すと、立派な鏡台があった。ここで梨央ちゃんはいつもメイクをしている。付属のライトはかなり強めだ。いわゆる、女優ライトか。
――女優、目指してるんですか?
梨央 「女優、目指してます(笑)。原宿に行ったときにスカウトしていただいて、シブサンプロジェクトっていう育成プロジェクトに参加させていただいてて」
アイドルみたいだと思っていたら、ガチのアイドルだった! 可愛いし、性格も良さそうだし、彼女は本当に女優になれそうな気がする。
「本人がやりたいって言って頑張ってるので、それは全然応援してあげたいです」(ママ)
番組スタッフが最後に向かったのは、次男くんの部屋。ふと見ると、そこには仏壇があった。
ママ 「これ、妹です」
梨央 「お母さんです」
ママ 「長男は私の子どもなんですけど、梨央は私の妹の子どもなんです」
――じゃあ、妹さんっていうのは……?
ママ 「妹はもう亡くなってしまったので、乳がんで」
梨央ちゃんが2歳の頃、妹さんは22歳で他界したそうだ。だから、ママは姉として梨央ちゃんを引き取ったということ。遺影を見ると、妹さんは綺麗な人だった。その容姿は確実に梨央ちゃんに引き継がれている。
――お母さんが亡くなったっていうのを認識したのはいつぐらいですか?
梨央 「ちゃんと認識したのは小1くらいですね。そんな覚えてなかったので悲しいっていうわけではなくて、『お母さん違うんだ』みたいな感じだったのかなあって思います」
記憶があまりなくて、梨央ちゃんにとってはまだ良かったのか? あと6年経てば、彼女は実の母の年齢に並ぶ。そして、梨央ちゃんには引き取ってくれる叔母さんがいた。
――どういう妹さんでしたか?
ママ 「4歳下だったんだけど、すっごく仲が良かったです。私が彼とデートするときに一緒について来たりとか、いつも何かがあると相談で電話をくれたり」
――妹さんが亡くなったときはどう思われましたか?
ママ 「信じられないだけですね」
――最後に交わした会話は覚えていますか?
ママ 「『梨央、わがまま言ってない?』とか。なんとか生き抜こうと、きっと思ってたと思うので。(妹の死を)乗り越えるのには時間がかかって、街中で後ろ姿がそっくりな子に話しかけてしまったりが何度かあって、すごい変な人扱いをされちゃったりとか(笑)。たぶん、この子(梨央ちゃん)たちがいなかったら死んじゃってたかもしれないです。(妹を)1人で逝かせるのが可哀想だったので。この子たちが2歳とかで育てなきゃいけなかったので、必死だったので、そこで乗り越えられました」
――2歳の梨央さんが残されたときに、どうしていこうと思ったんですか?
ママ 「自分の子として育てていこうと思いました」
――それはなぜですか?
ママ 「妹の子どもだからです。それだけですね。ただ、それだけですね」
――実の子とそうじゃない子を一緒に育てるっていうのは大変じゃなかったですか?
ママ 「私は血がつながってるので、だからその辺は何の意識もなく。参観日も綺麗に半分になるように何度も時計を見て、長男のところに行ったりとかは大変でしたね」
ママにとって、梨央ちゃんは妹さんの生き写しなのかもしれない。育てることは大変だけれど、楽しいはずだ。事実、梨央ちゃんは良い子に育っている。愛情をたくさんもらっているのだろう。他人ではなく、2人は血がつながっているのだ。梨央ちゃんはいいママに引き取られて本当に良かった。
次男くんの言うように、梨央ちゃんはママによく怒られるそうだ。
――1番どんなときに怒られることが多いですか?
ママ 「家の手伝いをしないとき。性格が(妹に)そっくりなんです。妹は何にもやってなかったです。部屋は汚かったし、その辺が似てる。妹に言ってたことと同じようなことを、今、この子に言ってるかもしれないです。平等に怒ってるし、平等に可愛がってる自信はあります」
梨央 「なんか、こんな考えてくれてると思ってなかった(泣)」
ママ 「いつもそんなに考えてくれてると思ってなくて、いつもママにわがまま言って(笑)。でも、それでいいんです。それが普通の親子なので」
梨央 「ちょっとは頭にあったんですよ、実の子じゃないっていうのは。それを普段の生活で感じさせないように育ててくれて、感謝しています」
家にお邪魔する前に「ワケあり」と聞いていたが、話を聞くとワケなんてなかったと思う。愛のある家族だ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事