西武園ゆうえんち、“昭和レトロ”で100億円リニューアルも来園者を悩ませる「地獄システム」
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コロナ禍で大ダメージを受けている業界の1つが遊園地だ。三密やソーシャルディスタンスとはかけ離れた場所だけに、先行きが不安視されるなか、西武HDが大勝負に出た。埼玉県所沢市にある西武園ゆうえんちを改修し、コロナ禍が一向に収まらぬ5月にリニューアルオープン。“昭和レトロ”をキーワードに再スタートしたが、そこで導入されたあるシステムの評判が芳しくない。
西武園ゆうえんちは1950年に開業。入場者数は順調に伸び、1988年度には年間194万人を記録したが、その後は徐々に客足が落ち、2018年度は49万人まで落ち込んでいた。そこで西武HDは、同園の70周年に向け、大規模リニューアルを決断。およそ半年の改修工事を行った。
「西武HDは、昨年8月に『としまえん』が閉園。西武鉄道は、沿線に途中下車したくなるような駅がない上、観光スポットも乏しく、“ベッドタウンを走る電車”というイメージの払拭が急務でした。そのために取り組んだのが、所沢一帯のテコ入れです。池袋線と新宿線が交差する所沢駅に大規模商業施設を作り、西武球場も大規模改修工事を実施。そして“3本の矢”の最後の1本が西武園のリニューアルでした」(経済誌記者)
リニューアルを取り仕切ったのは、低迷していたUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)をV字回復させた人物。100億円をかけたリニューアルの目玉となるのが、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を彷彿とさせる昭和レトロの商店街だ。しかし、「西武園は立地に大きなハンディがある」と語るのは、東京近郊の交通事情に熟知した情報誌記者だ。
「東京ディズニーリゾートは東京駅からJR京葉線で約15分。目の前には高速道路も通っています。大阪のUSJも大阪駅から15分ほど。ところが西武園は、新宿や池袋から40分以上かかる上、乗り換えも必要で、高速道路の出入り口からも非常に遠い。主要幹線道路からも離れていて、車で行くのはまったくお勧め出来ません。西武線沿線住民ならまだしも、それ以外の方が行くのはなかなか難儀です」(情報誌記者)
西武HDは、沿線住民だけで100億円の元は取れると考えているのか。問題はそれだけではない。日本全国のレジャーランドに詳しいトラベルライターはいう。
「昭和レトロ路線を打ち出した施設は、すでに新横浜のラーメン博物館やお台場の『台場一丁目商店街』などがあり、目新しさはありません。こういった施設は、結局いつまで経っても“作り物感”が消えず、どこか安っぽいイメージが永遠につきまといます。より本物気分を味わいたいなら、近所の『江戸東京たてもの園』(東京都小金井市)の方がリアルですし、北関東のシャッター商店街にでも行けば、“リアル昭和”はいくらでも味わえます。
そして決定的なマイナスポイントが、園内で使う『西武園通貨』です。園内の支払いは原則的にすべて西武園通貨なので、これを購入する必要がありますが、これがなかなか面倒。しかも通貨は当日限り有効で、返金もできないので、ピッタリ使い切るために頭を使うことになります。このアイデアは“現実に引き戻されないようにするため”に導入されたそうですが、確実にお金を落としてもらいたいという魂胆が見え見えです」(トラベルライター)
使い勝手の悪さまで昭和風と考えるのが、もしや正解なのだろうか。
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