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声優のドラマ界進出が止まらない! ベテラン勢の“逆襲”に脅かされる女優・俳優の立場

『着飾る恋には理由があって』
『着飾る恋には理由があって』公式サイトより

 川口春奈主演の『着飾る恋には理由があって』(TBS系)第8話に、声優の森久保祥太郎が登場した。森久保といえば、アニメ『NARUTO-ナルト-』の奈良シカマル役や、『弱虫ペダル』の巻島裕介役、『メジャー』の茂野吾郎役など、数々の代表作を持つベテラン声優だ。駿(横浜流星)がシェフを務める店に夫婦で訪れる常連客役で、出演時間はわずかだったがSNS上では「聞いたことある声だなぁーって思ってたら……森久保さんじゃん!」という驚きの声が。また、妻役も同じくベテラン声優の小林沙苗だったことから「わ、ほんとに森久保さんとジェミニが出てる!」と、小林が演じたゲーム『サクラ大戦V~さらば愛しき人よ~』の役名を挙げてチェックするファンもいた。

 『着飾る恋』に限ったことではないが、声優のドラマ出演が相次いでいる。『着飾る恋』と同じ火曜ドラマ枠でも、前クールで最終的に高視聴率を出した『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』の第2話に『鬼滅の刃』の竈門炭治郎役で知られる花江夏樹が売れっ子マンガ家役でゲスト出演。また、放送中の『リコカツ』(TBS系)には『セーラームーン』で月野うさぎを演じていた三石琴乃が、6月10日に放送が終了した『桜の塔』(テレビ朝日系)には『ドラえもん』のスネ夫役で知られる関智一が出演しているなど、いまや声優がドラマに出ていないクールはないほどだ。この波はNHK大河ドラマにまで及んでいる。

 これほど声優の起用が続いているということは、ドラマにもそれだけのメリットがあるということだ。単純な話題作りや、アニメや声優好きなど新しい視聴者を開拓できるといった目的は当然考えられる。声優ならば演技力は担保されている上に、根強いファンもいる。最近はYouTubeなどで自ら顔出しするなど、SNSなどのメディアに晒されることにある程度躊躇がないのも制作側にとっては安心材料だろう。

 また声優側にとっても、声の演技だけに活躍の場を限らないことは、今後生き残っていく活路になりそうだ。古くは「俳優で成功しなかった人の行き場」とさえ見られることもあった声優だが、いまや大人気の職業だ。アニメやゲームなど声優が活躍する制作現場は増えているものの志望者の増加には追いつけず、声優として食べていける人は一握りという世界で、演じる場所を広げて仕事を増やしたいという思惑があるのかもしれない。

 そもそも大きく「演じる」という意味で、声優と俳優のあいだに違いはないということはよく言われてきた。意外にも声優という仕事は日本独特のものであり、海外で声を本業にする役者は珍しいともいう。ひと昔前、吹き替えやアニメ映画には知名度のある俳優やタレントが起用されるようになったころから声優の立場は脅かされてきた。それが今度は逆に、声優が女優や俳優の独壇場だったドラマ界に進出しようとしている。もしかすると、これは声優たちの“逆襲”なのかもしれない。

■番組情報
火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』
TBS系 毎週火曜日22時~
出演:川口春奈、横浜流星、丸山隆平(関ジャニ∞)、中村アン、山下美月(乃木坂46)、高橋文哉、向井理、夏川結衣、飯尾和樹(ずん)、赤ペン瀧川、木本夕貴ほか
脚本:金子ありさ
演出:塚原あゆ子、棚澤孝義、府川亮介
プロデューサー:新井順子
音楽:神山羊、兼松衆、田渕夏海
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikazarukoi_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/06/15 15:00
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