蒼井優主演『フラガール』、初めてダンスを踊った衝動を呼び覚ましてくれる俳優の原点となった1作
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蒼井優のすばらしい演技が自分の思い出と重なる役者を志した原点
この映画が私にとって特別な1本だというのは、地元が舞台となっていることも理由のひとつですが、もうひとつは、私がダンスを通して見たこれまでの景色が、作品の中に凝縮されているからです。
例えば、初めてシューズを履いたワクワク感。机の下で足元が無意識に踊ってしまうこと。衣装を受け取って家で着てはしゃいだこと。スポットライトを浴びた眩しいステージ。出演前の化粧部屋でのドキドキ感。お客さんの声援と拍手。私の記憶と、映画の場面が重なる瞬間が何度もあります。
その中でも特に印象的なのは、紀美子が本気でフラダンスに取り組もうと決心する場面。紀美子は早苗に誘われ、付き添いでフラダンスを習っていたのですが、ある日他の生徒達と教室を覗き、まどか先生が踊っている姿を目撃します。先生の姿に魅了され、4人は大きく変化していき、紀美子はフラダンスに本気で興味を持つようになるんです。
この時の蒼井優さんの、細胞が沸き立つような、言葉に言い表せない衝撃と感動の表情が本当にリアルで。私がクラシックバレエを習い始めたのは、親戚のバレエの発表会を観に行ったのがきっかけだったのですが、その時の心情をなんとなく覚えていて、その自分と重なって見える場面なのです。
バレエを習うきっかけの他にも、私は幼い頃から本や舞台、ドラマや映画を観て感動したり、その影響で、将来の夢がコロコロ変わるような子でした。多分、心動かされる衝撃スイッチに昔から敏感なんだと思います。今でも心を動かしてくれる作品に出会うとワクワクするし、私も誰かの心を動かす存在に自分がなりたい、と常に思っています。今、私がここにいるのは、なんの偶然でも流れでもなく、あの心動かされた瞬間が原点なんだと、なるべくして役者になったのだと、あの紀美子の表情見ると、あの頃の自分を重ねてそう思えるんです。
ちなみに私、『フラガール』を初めて観た後も、「フラガールになりたい!」と両親に本気で言っていたそうで。将来の夢が変わるたび両親や友人に話をしていつも驚かせていて、今思うと私ってなんて単純なの、と呆れてしまいますが、心の衝撃スイッチに敏感だった、と思えたら、今の自分との繋がりが感じられて、自分を肯定できる気がしました。
仲間や家族との別れや、町の人に反対されながらも、彼女達は強く自分たちを信じ努力し続け、いよいよ常磐ハワイアンセンターのオープンを迎えます。彼女達のフラダンスショーには沢山の人が集まり、熱気の中最高の笑顔でステージに立ちます。本番のステージって、これまでの全てが報われる瞬間ですよね。練習があって、時に悩んで涙して。きっと、役を演じた彼女達も、相当な練習をしてきたと思います。その想いが、役とこの場面と合致して、とてつもない熱量となって画面から溢れているんです。
あ~、私もこんな青春をもう一度味わいたい!
ショーが終わり、観客の拍手と声援を浴びるフラガール達の笑顔は、涙なしには見られない最高のラストシーンになっています。
今や観光地として県外からも沢山の観光客が訪れるようになったスパリゾートハワイアンズ。いわきには部活としてフラダンス部があったり、フラガール甲子園という大会があったり、フラダンスもしっかり地域に根付いています。私も久しぶりに、フラダンスショーを観たくなったので、安心して帰省できる時がきたら、家族で観に行こうと思っています。
時代の変化に戸惑ういわきの町を活気付けようと、新たな事業に挑戦した当時の人々の努力の結晶は、今もなお沢山の人の笑顔に繋がり、町を守り続けています。『フラガール』のおかげで、自分の生まれ育った故郷が更に愛おしくなり、私の人生の核になっているものに気付かされました。
役者となった今の私にとって、『フラガール』は私の目標。いつかこんなふうに、ダンスをひとつの表現として、作品に活かして感動を届けたい!そして、地元にエールを送れる作品に出演したい!そう心から思っています。いつそんな作品との出会いが訪れてもいいように、やっぱりダンスを磨いておかねばですね! これを機に、飛び込んでこようと思います。
ひたむきな努力と最高の笑顔が、きっと明るく前向きな気持ちにしてくれます!
今こそ観るべき『フラガール』、是非ご覧ください。
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