蒼井優主演『フラガール』、初めてダンスを踊った衝動を呼び覚ましてくれる俳優の原点となった1作
#映画 #俳優 #蒼井優 #ダンス #キネマ旬報 #宮下かな子
こんばんは、宮下かな子です。
2年程前から、インスタグラムでダンス動画を見ることが趣味です。そもそものきっかけは、ダンスを習いたくて、どこの教室にしようか調べていたのがはじまり。4歳からクラシックバレエを10年間、高校時代はチアダンス部に所属し部長も務めていた私は、考えてみると物心ついてからほぼ踊って生きてきました。そんな人間が上京して暫くダンスから離れていると、やっぱり身体がうずうずしてくるのです。
有り難いことに、お仕事でダンスシーンがあるMVに出演させて頂く機会もあり、今後はもっと確かな武器のひとつとして、お仕事に活かしたいと思っているのですが……インスタグラムに上がっている動画のダンスレベルがとてつもなく高く、飛び込みで参加するチケット制のスタイルが高いハードルとなっていて、なかなか足が向かず、趣味化してしまったというわけです。もう数年以上ダンス習いたいと口癖のように言っているので、そろそろ動き出さねば!勇気を出せ!と自分に言い聞かせています。
今回は、そんな私の背中を押してくれるであろう、そして皆さんを笑顔にしてくれる、ダンスに纏わる映画をご紹介します。李相日監督『フラガール』(2006年シネカノン)です!この作品は、私にとって特別な1本。大切にご紹介しようと思います。
〈あらすじ〉
炭鉱の町、福島県いわき市。閉山が相次ぐ中、町おこしとして「常磐ハワイアンセンター」というレジャー施設が誕生しようとしていた。そこで行われるフラダンスショーのダンサー募集に興味を持った炭鉱町の娘達。オープンまでの短い期間、プロのダンサーを目指す日々が始まる……!
舞台である福島県いわき市は、私の生まれ育った町。常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)は、今や地元を代表する観光施設となっています。スパリゾートハワイアンズに行ったことのある方、読者の方の中にいらっしゃるでしょうか?
上京して早々、言葉が訛っていた私は、大学や美容院など至る所で出身地を聞かれていましたが、「ハワイアンズ行ったことあるから知ってる!」と返してもらえることが何度もありました。都会の方々がいわきに観光で来てくれていたと聞き、とても誇らしい気持ちになったのを覚えています。慣れない都会暮らしで、地元を知ってもらえていることがどれだけ嬉しいことか!常磐ハワイアンセンターのおかげです。この映画は、そんな常磐ハワイアンセンターの開設に向け、ひたむきに奮闘した地元の人々の実話を元にした物語です。
時は昭和40年。いわきは炭鉱業が盛んな地域でしたが、資源エネルギーが石炭から石油へ転換されていく時代の流れがあり、炭鉱業は斜陽化していきました。閉山により多くの人が解雇されていく中、石炭掘削の際、労働の妨げになっていた温泉を利用し、温泉レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を建設する計画が持ち上がったのです。当時の思い切った計画に、町の人からは反対の意見が多くあったそう。そんな中、施設での目玉と考えていたフラダンスショーのダンサーを、東京のプロにではなく、地元育ちの女性達から募集することになったのです。
映画『フラガール』では、徳永えりさんが演じる木村早苗がダンサー募集のチラシを見つけ、蒼井優さん演じる親友の谷川紀美子を誘うことから物語が始まります。集まったメンバーは、早苗、紀美子、身体が大きく恥ずかしがり屋の小百合(南海キャンディーズの山崎静代さん)、子持ちで事務員をしている初子(池津祥子さん)のたった4人。しかも全員ダンス未経験者。
4人を指導するのは、東京からやってきた平山まどか先生。この強烈なインパクトある先生を、松雪泰子さんが演じています。
まどか先生は所属していたSKD(松竹歌劇団)を辞め、肩代わりした親の借金まみれ、お酒を浴びるように飲む落ちぶれたダンサー。自棄になっている彼女を、松雪さんは都会の垢抜け感と色気、そして男前な一面を持ち合わせ、とても魅力的に演じています。クールに見えて、芯に熱い情熱を燃やしている役柄がとてもぴったり。
このやる気ゼロだったまどか先生を奮い立たせるのは、懸命に努力する4人の生徒の姿。4人はそれぞれ複雑な家庭環境の中、「女が腰振ってヘラヘラ踊るなんて!」なんて、断固反対する親や周りの声を押し切ってフラガールを目指します。そんな4人の姿を見て、再び心の炎を灯したまどか先生は、彼女達の心に寄り添いながら、時に彼女達のために頭を下げ、時に男性の銭湯場にまで乗り込み、時にブチ切れて生徒達に喝を入れながら、共にステージを目指していきます。
松雪さんの見事な暴れっぷりは必見です!
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事