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世界は映画を見ていれば大体わかる#10

中日・門倉元コーチが無事帰宅! 謎に包まれた数日間を考えるための「失踪を扱ったU-NEXT配信映画」

中日・門倉元コーチが無事帰宅! 謎に包まれた数日間を考えるための「失踪を扱ったU-NEXT配信映画」の画像1
『ラブレス』(2018)U-NEXT 公式サイトより

 中日ドラゴンズの門倉健2軍コーチが5月中頃から失踪していた件は6日夜に自宅に戻ったことで無事解決。その間、一部タブロイド紙では横浜の公園にいるところを保護されたとか、愛人と駆け落ち同然の暮らしをしていたと醜聞が載っていたが、球団側は否定も肯定もせず門倉側も本人が鬱病と診断されたので失踪までの経緯を家族も聞くことができないという。

 なんだか釈然としないものを感じるが、病に苦しんでる人間にメディアスクラムを仕掛けるのもどうかと思うので、失踪をテーマにした映画から考察を試みたい。

『ラブレス』(2018)はロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督による作品で世界各国の映画祭で高い評価を受けたある夫婦のサスペンスだ。

 夫ボリス、妻ジェーニャはすっかり愛情も冷め切ったカップルで住んでいたマンションを売り払い、さっさと別れてそれぞれにいる新しい恋人との生活を始めることばかり考えていて、二人の間にいる12歳の息子アレクセイをどちらも引き取りたくない。寄宿舎に預けようとする妻に夫は非難をするものの自分で引き取るつもりもなく、両親から愛されていないことを知っている息子は悲しみに暮れるばかり。

 そんなある日、息子がいなくなってしまう。聞き取りにやってきた警察にはたかだか家出だろうとあしらわれ、今は他の仕事で忙しいのでボランティアを頼れば?とやる気ゼロ。民間救助団体の協力を受け捜索がはじまるが一向に見つからない。夫婦はその間も互いに責任を擦り付けあうばかり。

 ここまで聞いて結局息子は見つかって夫婦は愛情を再確認してやり直すんだろうな、と思ったそこのあなた、これはそういう映画じゃあないんですよ。他人を思いやれない人間に他人との関係性は維持できない、という話だから。

 門倉元コーチも虐待されてた愛犬を助けたりしているのに愛人報道がされたりと、ワンちゃんや愛人に向ける愛情を奥さんに向ければよかったのに……いや、本当に愛人がいるのかどうかは知りませんけど。

中日・門倉元コーチが無事帰宅! 謎に包まれた数日間を考えるための「失踪を扱ったU-NEXT配信映画」の画像2
『きっと、うまくいく』(2009)U-NEXT 公式サイトより

 当時のインド歴代興行記録1位を記録した『きっと、うまくいく』(2009)はコメディ映画なのだが教育問題をテーマにした社会派映画でもある。

 大学時代に友人だった3人の若者は実家が大金持ちの上に優等生でありながら自由奔放に生き、成績ばかりを重視し競争社会に生き残ることしか教えない学長に反発するランチョーと10年後に再会する約束を果たすために集まったが、当のランチョーは姿を見せない。彼の家に行きランチョーだと紹介された人物はまったくの別人だった!3人がランチョーだと思っていた人物は使用人の息子で勉強嫌いのランチョーの代わりに替え玉として入学していたのだった。彼は10年もの間、姿を消してどこで何をしているのか?

 就職のためだけの成績が求められる大学の教育方針についていけず、絶望した生徒が自殺にまで追い込まれる当時のインド教育問題を揶揄する内容で、成績だけが人生ではないんだ!というメッセージはプロ野球で中日・近鉄・横浜・巨人と4球団を渡り歩き、いずれの在籍時もペナント制覇をしながら日本シリーズで登板機会がなかった(巨人時代はクライマックスシリーズで投げたがチームは敗退、しかも相手は中日だった)。

 その後もメジャーリーグのシカゴ・カブスとマイナー契約も開幕直前に戦力外通告、韓国野球、社会人野球にまで挑戦した門倉元コーチは一流じゃなかったかもしれないけど野球は成績だけじゃないんだ、ということを教えてくれます。

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