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若林正恭と田村淳、“骨組み”を組み立て続ける2人の本音のような言葉

若林正恭と田村淳、骨組みを組み立て続ける2人の本音のような言葉の画像1
若林正恭Instagram(@masayasuwakabayashi )より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(5月30日~6月5日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

若林正恭「骨組みの仕事ってあるじゃないですか」

 オープニングで毎回「裸のトークバラエティ」と銘打っている番組『あちこちオードリー』(テレビ東京系)。オードリーの若林正恭と春日俊彰が毎回1~2組のゲストを招いてトークを繰り広げる番組だ。その謳い文句のとおり、番組では芸人やタレントたちの本音のような“裸”の言葉が多く飛び交う。

 そんな番組の2日の放送のゲストはロンドンブーツ1号2号の田村淳。毎回目が離せない同番組だけれど、中でも先週は傑出した回だった。

 約50分の番組の中には、多くの見どころがあった。子どものころの淳の話とか、ダウンタウンの浜田雅功についての話とか、相方である田村亮への思いとか、政治家転身に関する考えとか。

が、ここでは番組中盤のクライマックスと思われる場面だけを、少し詳しめに取り上げたい。その場面について語ることが、『あちこちオードリー』という番組の魅力の一端を垣間見ることにもつながると思う。

 番組が中盤に差しかかったころ、淳と若林の間では芸人がMCを務めることをめぐる葛藤が語り合われていた。番組の進行役として場をまとめる側に立つことが多い2人。まとめる側ではなく、場を荒らす側に回りたくはないか? 若林のそんな問いかけに、淳は「進行することを逸脱したいよね」と応じた。そして、番組を進行することを「骨組みを作ること」に例えながら、淳は骨組みから逸脱して自由に動き回る春日のような芸人への憧れを吐露した。

「番組って、面白くなったら、自由に動いてる人がハネることで、その人に評価が行きがちじゃない。春日が面白いってなる。でもその裏では、骨組み作ってる若林がいるわけじゃない。だけど、俺はもともと裏(=進行)志望じゃないから」

 32~33歳のころ、淳は番組の進行役を任されることに、つまらなさを感じていたという。そんなとき救われたのは、ナインティナインの矢部浩之からの言葉。淳は矢部から「テレビのスタッフには、淳がいるからこういうふうにできたっていうのを理解してくれる人がいるから。その人たちに向かってまずやってみれば?」とアドバイスされたらしい。

 この話を受けて、若林は淳に問う。

「骨組みの仕事ってあるじゃないですか。でも、スケジュールが骨組みで埋まってることあるじゃないですか。そしたら、自分の『これがやりたい』は出さないじゃないですか。苦しいですよね?」

 あるいは、別角度からこうも問う。

「(番組の)骨組みを淳さんが組み立ててるから、中の人たちがいろんな階に行って暴れてんだよっていうのも、理解するスタッフも意外と少ないじゃないですか」

 若林は淳のトークに出てきた「骨組み」というワードを借用し、その比喩のイメージを膨らませながら、「スケジュールが骨組みで埋まってること」への苦しさについて尋ねる。その質問には、若林自身が感じている苦しさも重ねられているのだろう。あるいは、やはり比喩の力を借りながら、「中の人たちが(自分が作った骨組みの中で)いろんな階に行って暴れてんだよっていうのも……」と、自身が感じている割り切れなさを滲ませながら質問する。

 MCの仕事を「骨組み」に例えた淳の話を受け、その比喩に触発されるイメージから質問をさまざまに展開していく若林。しかもそこに、自身の複雑な胸の内のようなものを重ねながら。その後も「骨組み」はトークのキーワードになっていく。

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