トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > キムタクがSUVで爆走! SUV車の“キャッチコピー史”

木村拓哉「やっちゃえ日産」のはるか前はSUVでブイブイ言わせていた― SUV車CMの“キャッチコピー史”

木村拓哉「やっちゃえ日産」のはるか前はSUVでブイブイ言わせていた― SUV車CMのキャッチコピー史の画像1
日産Leatウェブサイトより

 OFFSPRINGのデクスター・ホーランドの印象的なボーカルに乗せ、赤いSUVが雪道を疾走する。放送開始から20年以上だった今でもアウトドアといえば、このCMが想起される人も多いだろう。エクストレイル(日産)のCMである。

 新型コロナ禍の影響もあってキャンプブームと言われて久しいが、1990年代後期から2000年代にかけて、今を上回る勢いで、日本全土で(オート)キャンプブームが巻き起こっていた。現在、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)と言われる車種名は当時はRV(レクリエーション・ビークル)と呼ばれ、90年代後半には新車需要の約半数がそれだったと言われている。

 そうしたキャンプ≒SUV(RV)ブームとあえて解釈し、そのキャッチコピーの歴史を紐解くことで、人々のキャンプ観の変化を見てみよう。

 その当時のRVブームを牽引したのが、前述のエクストレイルだった。カヤック、BMX、スノーボード、ジェットスキーなど、アウトドアスポーツの意匠をこれでもかと詰め込んだ本CMのキャッチコピーは「僕らは、ムチャをくりかえす」。ときは『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)が一世風靡していた時代。ムチャする若者の市場価値が今よりも高く、ヒップだったことが伺える。

 さらに時代を遡り、94年。人気絶頂だった木村拓哉を起用したのがRAV4(トヨタ自動車)である。ヘリコプターに付け狙われるキムタクが運転するRAV4。アクセルを踏み込み急加速をし、ヘリコプターの追跡をラクラク回避する。キャッチコピーは「RAV4という名のスポーツ」。SUVはあくまでタフな乗り物で、広大な大地を疾走させることを想起させる「遠い」非日常を想起させる乗り物であったということだろう。

 さて、時代は下り、お昼の情報番組でも日々キャンプ特集が組まれる現代。SUVは「近い」非日常を提供する乗り物へと移行した。代表的な車種はハスラー(スズキ自動車)である。

 軽自動車として、同社のワゴンRと共通のプラットフォームを利用しながら、よりカジュアルなレジャーを意識した造形を施した同車のデビュー時(2013年)のCMキャッチコピーは「遊べる軽、出た!」。

 CMにはカラフルなキャンプファッションに身を包んだカップルやファミリーが出演し、男らしさの象徴であったオフスプリングやキムタクの要素は一蹴され、より「遊び」(マイルドなレジャー)を志向したものへと変わった。空前のヒット車種となったハスラーを追随し、類似のモデルが次々に発売されていく。

 eKクロス(三菱自動車)のキャッチコピーは「すっげー、ラク。」。

スペーシア ギア(スズキ自動車)は「遊びゴコロにギアを入れろ」。

タフト(ダイハツ工業)は「きっといい風」。

 いずれもカジュアルで、あくまで「近い」非日常を謳うもので、キムタクがシャカ・カーンのBGMにあわせ、アクセルを踏み込んでいたあの頃とは隔世の感である。

 ちなみにキムタクに関して言えば、RAV4以降カローラフィールダーのイメージキャラクターをつとめ(2017年まで)長らく「トヨタの人」であったが、20年からは「やっちゃえNISSAN」でおなじみ日産のアンバサダーへとなり、ハンドルを握っているのはSUVではなく、電気自動車「リーフ」である。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2021/06/06 18:00
ページ上部へ戻る

配給映画