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日刊サイゾー トップ  > 渋沢栄一の“師匠”、伊藤博文の女好きエピソード

『青天を衝け』山崎育三郎演じる伊藤博文はセクシー!? 渋沢栄一に「色の道」を教えた“屈指の女好き”エピソード

「唯一の趣味が女遊び」と公言した伊藤博文

『青天を衝け』山崎育三郎演じる伊藤博文はセクシー!? 渋沢栄一に「色の道」を教えた“屈指の女好き”エピソードの画像2
伊藤博文

 明治時代の日本はエラい男性の女性問題に非常に寛大でしたが、伊藤博文ほど「私の唯一の趣味が女遊び」と公言し、「女好き」を隠そうともしなかったケースは稀です。

 本人いわく、「予は寡欲で、貯蓄ということを毛頭存ぜぬ。麗しき家屋に住もうという考えもなければ、巨万の財産を貯えるという望みもなく、ただ公務の余暇に芸妓を相手にするのが何よりの楽しみ」だそうです。私はお金を貯めこんだり、豪華なお屋敷に住みたいと考えることはなく、芸者と遊ぶのが唯一の楽しみ……と、「女遊び」を「私のささやかな楽しみです。これくらい許して」と捉えているのが興味深いですね。ちなみに伊藤が「遊ぶ」のは素人女性ではなく、あくまでプロの女性である芸者。一種のこだわりがあるのでしょう。

 「弄ばれた芸者の気持ちはどうなるの」と思う読者もいるかもしれませんが、芸者の属する花柳界という世界は、自分を贔屓にしてくれた、つまり寵愛してくれた男がエラい人であればあるほど、出世していけるという特殊な社会で、「あの伊藤博文と寝た」という経歴は女性にとってプラスにしかならず、マイナスになどならなかったのです。

 たとえば新橋の芸者・樋田千穂は、伊藤の愛人という事実を名刺代わりに夜の街で出世。後には新橋の料亭「田中屋」の女将として君臨することになりました。樋田は芸者の花道を歩いた女といえるでしょう。彼女は孫にも「つまらない男と結婚するくらいなら、一流の男の妾になりなさい」と教えていたそうです。

 明治時代の日本では、江戸時代からの「かわら版」が「新聞」としてリニューアルされましたが、パワーのあるニュースがない日の新聞には、こぞって伊藤の情事のウワサが掲載されていたようです。豊臣秀吉のように低い身分から成り上がった伊藤博文には、根強い人気があったことが推察されますね。

 伊藤が満州・ハルビン駅で暗殺された際の報じられ方からも、伊藤の好色ぶりがいかに新聞のネタになっていたかがうかがえます。ある新聞の口絵では、狙撃された伊藤の影が、なんと「女」という文字になっているのです。エロいことをした報いだとでも言いたいのかもしれませんが、政治家も「自由」なら、マスコミもかなり「自由」だったのが明治という時代でした。現在ならさすがに「不謹慎」と怒られそうな話ですが。

 ちなみに“女に汚いのが伊藤”、“カネに汚いのが山縣有朋や大隈重信”というのが長い間の定説だったのですが、伊藤はハデな女性関係でカモフラージュしていただけで、実際のところ怪しい蓄財もたんまりしていたのが、近年の研究では明らかになってきているのですね。

 ……というわけで、まったく語り足りないうちに文字数となってしまいました。また伊藤博文については機会を改めてお話したいものです。

<過去記事はコチラ>

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 11:47
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