拉致日本人含む12万人がいる北朝鮮収容所の内情 3Dアニメで描いた地獄絵巻『トゥルーノース』
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レイプされて身篭った女性は、処刑の対象に
強制収容所からの脱走を試みた者は、さんざんリンチされた挙句、公開処刑される運命が待っている。収容者たちは子どもたちも含めて全員が、脱走者の処刑される様子を見なくてはならない。ある時、ヨハンらは山林の伐採を命じられるが、無謀な伐採計画により山崩れが起き、多くの収容者たちが生き埋めとなる。ヨハンはまだ息のある者を救出しようとするも、収容所の所長は「仕事に戻れ」と冷たく言い放つ。亡くなった者を埋葬することも、収容所内では許されていなかった。ただ、遺体は瓦礫と一緒に捨てておくことしかできない。
気弱な少年から、タフな若者へと成長していくヨハンだったが、彼の試練はまだまだ続く。母親のユリは最期までお人好しのまま、ヨハンに「誰が正しいとか、間違っているとかではなく、誰になりたいかを自分に問いなさい」と言い残して息絶える。妹のミヒは看守に暴行され、妊娠してしまう。妊娠がバレると、「収容所内でいかがわしいことをしていた」と妊婦だけが処刑されるはめになる。一方、暴行した看守はお咎めなし。ジェンダーフリーもポリコレも、強制収容所内ではまったく通じない。
絶望しか感じられない強制収容所で、ヨハンたちはどうやって生き延びていくのか? 母親のユリは、家族を処刑された孤児インスの面倒も看ていた。年頃の同じヨハンとインスは兄弟同然に育っていく。2人は森の中で冬眠中のカエルを捕まえる。もちろん、貴重なタンパク質の補給のためだ。2人は食べ物を探しに夜の森を探索し、韓国から投げ込まれた荷物の中から雑誌やビデオを見つけては、「お宝発見!」とばかりに喜び合う。収容所の夜は灯りがなく、真っ暗闇だ。美しい満天の星空を、妹のミヒと見上げる。亡くなった人のお墓を看守に見つからないようにこっそりと作り、遺族から感謝される。
どうにもならない絶対的な不幸の中で、ヨハンはささやかな喜びを見つけては慈しむ。絶望の世界にいるヨハンは、そんな小さな幸せを心の灯火にして、かろうじて生き延びていくことになる。
一時は看守に告げ口する監視グループの一員になっていたヨハンだったが、妹のミヒや親友のインスに支えられ、人間性を取り戻していく。ここらへんのヨハンの内面描写は、プロデュース作『happy しあわせを探すあなたへ』で人間はどんな時に幸せを感じるかを追求した清水監督ならではのものだろう。幸福はただ待っているだけでは、手に入らない。ヨハンは、より思い切った行動をするようになる。
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