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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『リコカツ』と『最高の離婚』が比べられる理由

『リコカツ』が再放送中の『最高の離婚』と比べられてしまうワケ

『リコカツ』公式サイトより

 北川景子永山瑛太が共演する『リコカツ』(TBS系)が佳境に入った。結婚と離婚をめぐり、すれ違ってばかりの2人には毎回共感の声が数多く上がり、物語の終盤に向けて盛り上がりを見せている。

  “離婚から始まるラブストーリー”である同ドラマでは、第6話で離婚してしまうも第7話では互いへの想いが交錯するさまが描かれ、想いが届かずに2人がすれ違うシーンの演出が切ないと話題となっていた。

 『リコカツ』の演出は印象的だ。例えば第6話で咲(北川)と紘一(永山)の離婚が成立してしまった別れのシーン。交わした2人の長い握手には、別れへの決意や戸惑い、離れがたい想いが表れていて、多くの視聴者が涙した。また、隠された細かな演出も多い。咲の職場に積み上げられた本の中に、2018年に同枠で放送されていた『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)に出てくる本「脳みそとアップルパイ」が紛れ込んでいたり、咲の母親役を演じる声優の三石琴乃の携帯の着信音が、三石が声優を務める『新世紀エヴァンゲリオン』のものだったり。そういえば咲の父親の着信音も、父役・平田満の代表作である映画『蒲田行進曲』の曲だった。遊び心のあるこれらの演出も粋な演出だと喜ばれている。

 こういった演出は、ドラマ視聴後にSNSで盛り上がったり録画で何度もじっくり見たりと、リアルタイムに1度視聴して終わるだけでない、近年のドラマの楽しみ方を踏まえたものである。それがドラマウォッチャーにウケているのかもしれない。

 ただその一方で、第7話で雨も降っていないのに、かっこいい演出のために咲の元カレが傘をさして待っている不自然な演出があったり、SNSで視聴者から“筑前煮女”と呼ばれ嫌われる紘一の後輩・一ノ瀬(田辺桃子)にイライラさせられすぎたりで視聴をやめてしまう、なんて人も。

 2013年に永山が主演した『最高の離婚』(フジテレビ系)も同じように、価値観の違いから離婚し、やがて互いの存在の大きさに気づき復縁するという物語。他局だが地域によっては現在再放送がされているため、『リコカツ』と同時進行で見ている視聴者もいて、共通項が多いドラマだけに比べてしまうようだ。

 同じ“離婚”というテーマを丁寧に掘り下げ共感を得ていた『最高の離婚』に対し、嫌われ役にかき乱されて離婚をしてしまう『リコカツ』。ストーリー展開に必要だから、というやや不自然な演出が目に付いてしまう。もちろん「どっちも面白い」とどちらも楽しむ声も多く、なかには「最高の離婚は結構重たかったので、リコカツは気軽に見られて笑えるのでハナ金にちょうど良い」という声も。

 6月4日には第8話が放送される。北川と永山2人の名演技や、コメディとのバランス具合が程よい胸キュンのストーリー、細かで粋な演出が好評だからこそ、嫌われ役にも共感できるような描き方をするなど、ラストに向けてうまくまとめていってほしい。

■番組情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系・毎週金曜午後10時~
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲 迅、宮崎美子、酒向 芳、三石琴乃、平田満 ほか
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄、鈴木早苗、韓 哲、小牧 桜
プロデューサー:植田博樹、吉藤芽衣
音楽:米津玄師
製作:TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/rikokatsu_tbs/

南沢けい子(ライター)

愛知県名古屋市生まれの食いしん坊ライター。休日はNetflixやAmazonプライムを駆使して邦画や洋画、海外ドラマを観まくるインドア派だが、Netflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』に影響されて20インチのミニベロを購入。主人公の男の子たちになった気分でサイクリングロードを走るのが最近の楽しみ。

みなみさわけいこ

最終更新:2021/06/04 18:00
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