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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > おいでやす小田の”大声ツッコミ”は経験のたまもの!

おいでやす小田の”大声ツッコミ”はシンプルさに隠された経験のたまもの! 今最も熱い芸人の高度なテクニックを元芸人が解説

ソニー所属芸人たちの声が大きいわけ

 ソニーは「Beach V(びーちぶ)」という自前のライブハウスを持っている。そこは元々音楽のライブをやっていた場所で、壁が音を吸収する素材で出来ているため、芸人の声も笑い声も吸収されてしまい、自然に大声になっていくと言っていた。そのお陰でソニーの芸人の大半は大声を出すようになったと。

 元々はどこの事務所にも入れない芸人たちが集まると言われていた事務所だが、そこにいる芸人たちの声が強化された結果、バイきんぐやハリウッドザコシショウを筆頭に売れっ子が多く在籍する事務所になったのかもしれない。

 余談だが、昔僕が脚本・演出をした舞台で、役者さんに漫才をさせた事があった。

 ネタの内容は僕が書き、役者さんたちにはとにかく大きな声でやってくれとお願いし、いざ本番。

 その舞台をたまたま二丁拳銃の小堀さんが見に来てくださり、終演後少しお話させていただいた時に、漫才に関して『あの2人は芸人さん?』と言われたので『いえ、役者さんです』と答えると『あ、そうなんや。めっちゃ声出てて面白かった』と、漫才のプロに褒めてもらえた。いかに大声が笑いにとって大切か、改めて実感した瞬間だった。

 この大きな声を活用するのは芸人だけの話ではない。

 数年前にこういう依頼を受けたことがあった。

 全国から予選を通過した数名がとあるセミナーに通って、どれだけ成果をあげられるようになったかというのをプレゼンし競い合うコンテストの決勝戦があり、その大会で優勝したいのでアドバイスしてほしいという依頼。

 まったく未知なるジャンルだったが、面白そうなので引き受けてみた。

 決勝戦の概要を簡単に説明すると、ひとりひとりに与えられた時間は約10分。スライドを使いながら会場にいるお客さんにプレゼンし、お客さんの投票で優勝者を決める。依頼者にどうしてほしいか聞いたところ、基本的にはアドリブで話しをして、僕に見た目やしゃべり方の演出をして欲しいと言われた。

 人前でたった一人で10分間アドリブで話をし続けるというのは芸人でも容易ではない。対戦者たちのVTRを見させてもらったが、依頼者と同様、トークに自信があり、アドリブでも話せるという印象を受けた。

 僕はあえて一切のアドリブを一切禁止し、起承転結がある10分間で完結するトーク台本を作って覚えてもらうことに。

 そして”とにかく大きな声でやるように”と伝えた。

 前述したように大きな声は内容が勝手に耳に入ってくる。優勝するには大きな声は必須なのだ。

 練習初日、大きな声で台本を読むことから始めた。大声に慣れていない人は勝手に体が音量を抑制してしまう。意味のない「あ~」という言葉や歌などは容易に大声を出せるのだが、大声で話すという行為は難しい。イメージ的には100%のうち80%くらいの声量でやるのがベストなのだが、どう考えても50%くらいの声量しか出ていないのだ。依頼者自身は100%で声を出しているつもりだとしても。

 みなさんも試しに歌ではなく、本のような文章を大声で音読してみてほしい。思ったより声が出ていないことに気づくだろう。

 声が出ない理由は多々ある。喉の使い方がわからない、羞恥心が働いてしまう等。喉の使い方はひたすら大きな声を出していれば何とかなる。羞恥心はできるだけ人前で大声で話す意識をすれば取っ払える。

 これが出来たら第一段階終了だ。そして次にやることは大声を大きな声にするということ。

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