おいでやす小田の”大声ツッコミ”はシンプルさに隠された経験のたまもの! 今最も熱い芸人の高度なテクニックを元芸人が解説
#M-1グランプリ #おいでやす小田 #ピン芸人 #ツッコミ #大声
毎年のように、M-1グランプリを機にテレビへの露出が増える芸人が何名か存在する。
「M-1グランプリ2020」の場合はニューヨークや錦鯉がそれに当てはまるが、もう一人欠かせない男がいる。
ピン芸人でありながらも同じくピン芸人とユニットを組んで出場し、今やバラエティに引っ張りだこ。瞬く間に時の人になった「おいでやす小田」である。
今回のコラムは、星の数ほどいる芸人の中で、なぜ今おいでやす小田が重宝されるのかをもと芸人目線で分析していこう。
おいでやす小田の代名詞といえば”ありえないほど大声でいうシンプルなツッコミ”だ。
”シンプルなツッコミ”=”簡単なツッコミ”というわけではない。
芸人はボケや言葉を選ぶとき独特なセンスを見せたがる傾向にあるが、おいでやす小田のように、あるボケに対して大多数の人が思うであろうツッコミを瞬時に判断し、視聴者の感情を代弁する方がよっぽど難しい。
大声ばかりが目立ち『ただ大声でつっこんでるだけ』と思うならば、もう少し踏み込んで考えてみてほしい。大多数の人間が何を思うか、を瞬時に判断できるかどうか。100人中80人が浮かぶであろうツッコミをチョイスできるようになるまでには相当な努力をして経験を重ねたに違いない。
5月28日に放送された『ウッチャン式』(TBS)では、その大声でシンプルなツッコミに注目し「大声ツッコミ×???=無限に面白い」という式を打ち出し、「大声つっこみだとなんでも面白くなるのか」を検証する企画が放送された。
実際にアキラ100%などのピン芸人やタレントが出演し、そのネタに対して即興でおいでやす小田が大声でツッコミ続け、見事に検証を成功させたのだ。
しかもこの番組はゴールデンタイムの2時間スペシャル。おいでやす小田に焦点を当ててワンコーナーを作ってしまうという事は、認知度・面白さ・話題性など、あらゆる面で今もっとも熱い芸人と言っても過言ではない。
大声と笑いは比例する傾向にあると僕は思う。
おいでやす小田に関しても、もちろん元々持っているセンスや努力の賜物があったとしても、少なからず大声で無ければ今のブレイクはないと言える。
僕は10年前に芸人を引退したが、今では時々ネタ見せという仕事をすることがある。ネタ見せとはライブやオーディションなどの本番を控えた芸人のネタを見て、アドバイスをする仕事だ。
ネタ見せの中で一番多いのは「もっと大きな声を出せ」というダメ出しだ。芸人にとって基礎中の基礎である一方、忘れがちなものでもある。
ライブなどの直接お客さんと対峙する場面だと声量は大事なポイントのひとつだ。
笑いを起こすにはまずネタそのものに集中して観てもらう必要がある。小さい声の場合、何を喋っているのか聞き取ることに意識が行ってしまい、笑うという行為まで辿り着きにくい。更には笑う事で芸人の声がかき消されるので笑わないようになるのだ。逆に声が大きいと勝手に耳に入ってくるので面白ければ笑う。内容を頭で理解せず自然と受け取れる。声量にストレスを感じず安心して笑えるのだ。
5月20日に放送された「アメトーーク」(テレビ朝日)の「ソニー芸人」の回でも、それを裏付ける話が出ていた。
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