厚生労働省、国民の給与8年ぶり減少の統計結果―コロナ禍の労働時間が反映か
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新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまな業種が大きな影響を受けている。その結果として給与が大きく減少していることが明らかになった。
厚生労働省が5月28日に発表した20年度の毎月勤労統計調査によると、新型コロナ感染拡大の影響が本格化した20年度の1人あたりの現金給与総額は、月平均で前年度比1.5%減の31万8081円と8年ぶりに減少した。
現金給与総額の前年度比の推移を見ると、20年度の減少がいかに大きなものだったのかは明らかだ。
現金給与総額に消費者物価を反映させた実質賃金の前年度比1.2%の減少と大きな下げとなっている。なお実質賃金の前年度比で14年が大きく減少しているのは、調査事業所の抽出の変更に伴う特殊要因によるもの。(表1)
給与の減少には、新型コロナの影響の濃淡が大きく現れている。業種別の前年度比での賃金の減少幅を見ると、現金給与総額では、飲食サービス業等が7.0%の減少、次いで運輸・郵便業が5.4%の減少となっている。
この給与の減少は、労働時間の減少を反映したものだ。20年度の月間総実労働時間の平均は134.6時間と3.0%減少。特に、残業などの所定外労働時間が大きく減少している。所定内労働時価は125.6時間と前年度比2.1%の減だが、所定外労働時間は9.0時間と13.9%と大幅なものになった。
この結果、所定内給与は24万5258円と前年度比 0.2%増加だったのに対して、所定外給与は1万7028 円と同13.3%も減少している。
業種別では、所定内給与は飲食サービス業等が3.7%の減少、次いで運輸・郵便業が1.5%の減少、所定外給与は飲食サービス業等が38.1%の減少、次いで生活関連サービス等の36.9%の減少と大きく減少している。
労働者の就業形態では、月間現金給与額は一般労働者が41万6570 円と前年度比1.9%減少だったのに対して、パートタイム労働者は9万9083円と 同0.9%減少と一般労働者よりも小幅にとどまっている。
だが、これは一般労働者が3544万7000人と前年度比1.4%増加したのに対して、パートタイム労働者は、1593万5000人と同0.9%減少していることがある。パートタイム労働者数の減少は1990年の調査開始以来初めてで、新型コロナの影響がパートタイム労働者の雇用により大きく現れている。
労働時間を見ても、総実労働時間は一般労働者が159.8時間と前年度比2.9%減少したのに対して、パートタイム労働者は78.6時間と同5.1%の減少となっている。所定内労働時間は、一般労働者が147.6時間と前年度比1.8%減少だったのに対して、パートタイム労働者は76.6時間と同4.6%の減少、特に所定外労働時間は、一般労働者が12.2時間と前年度比13.7%減少だったのに対して、パートタイム労働者は2.0時間と同21.0%の減少と大幅に減少した。
このように、新型コロナは20年度の給与状況に大きな影響を与えた。だが、より深刻なのは、20年度の状況を見ると、21年1~3月期でもその影響が小さくなっていないことだ。
例えば、労働時間は21年1~3月期で前年度比1.5%減少している。一般労働者で同1.5%、パートタイム労働者で同4.0%も減少している。現金給与総額は21年1~3月期で前年度比0.3%減少、所定内給与は同0.5%増加となっているが、所定外給与では6.9%も減少している。
こうした傾向が21年中も継続するようであれば、新型コロナ禍によって、20年、21年を通じて減少を続けることになり、大きな減少となることが考えられる。
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