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日刊サイゾー トップ > ライフ  > 「徒歩ニキ」はなぜ歩くのか?【インタビュー】

「徒歩ニキ」はなぜ歩くのか? 東京から三重、神戸、青森…約2850kmを徒歩旅で踏破した2ちゃんねる住民【インタビュー】

「道の終わりにある水族館が見たい」

――そもそも、長距離を歩くことに魅力を感じたのは、どんなきっかけだったのでしょうか?

徒歩ニキ:たしか中学生の頃だったと思うのですが、自分の町から2~30kmある最寄りの駅まで歩いて行けるのかな? と考えてやってみたのがきっかけでした。思えば、その時の気持ちの延長線上に今があるような気がしますね。今も、この道はどこまで続いているんだろうっていう好奇心が自分を徒歩旅へ駆り立てる動機だったりするので。

――ご自身の好奇心が歩く動機へと繋がっている徒歩ニキさんのスタンスは、2ちゃんねるのみなさんとのかかわりあい方からも伝わってくるような気がします。応援してくださっている方々がいることでプレッシャーを感じるというよりは、あくまで自分のモチベーションや楽しみ方を大切にされているからこそ、皆さんといい関係性を保っていらっしゃるような。

徒歩ニキ:ありがたいです、でも、そうかもしれませんね。あくまでこの旅は自分自身が楽しむためにやっていることですし、自分のやりたいようにやるというのを大前提にしています。そしてその結果、見守ってくれてる皆さんが楽しめればなおいいなという気持ちです。なので実況中にアップする写真も、目立ったランドマークのような“ここで撮るべき”というスポットというよりは、いま自分が見ている景色をありのままに残せればと思って撮影することが多いような気がします。

――確かに、アップされる写真の多くが何でもない住宅地だったり、あぜ道だったり、国道沿いに商業施設が並ぶ景色だったりと、とても身近に感じられるものばかりで。2ちゃんねるでも「このスレの醍醐味は徒歩だからこそ撮れる、観光地でも何でもない風景写真だ」といったコメントが書き込まれていました。

徒歩ニキ:どこかで見たことがあるような風景に惹かれることが多いですね。それは何でもないものだからこそ、歩いているときその瞬間の空気や気持ちだったりが感じられると思うので、自分でも旅が終わった後に見て振り返ることが多いです。

――2ちゃんねるのスレでも、「徒歩ニキのように旅してみたい」という方から、実際に触発されて数kmを歩いてみたという方もいますよね。実際に、回を追うごとに2ちゃんねるの反応は大きくなっているのでしょうか。

徒歩ニキ:そうですね。 書き込みの数も増えましたし、書き込みはしないけどスレを見てる「ロム専」の方々も増えました。あとは、回数を重ねるごとにTwitterのフォロワーさんの数も増えていきましたね。

――どんな反応が印象に残っていますか。

徒歩ニキ:「がんばれー」とか「ご安全に」とか、そういう一つひとつの反応が嬉しいのですが、なかでも印象に残っているのは、「今回の旅楽しかったか?」っていうレスです。確か目的地にたどり着いてからのレスだったんですが、その言葉をみてふと自分の徒歩旅を振り返って、「楽しかったな」と思うことができたんです。

――書き込みでも何度か「なぜ歩くのか?」という質問が投げかけられていますが、その度に徒歩ニキさんが「ある日ふと歩かなきゃみたいになる」と答えていらっしゃるのも印象的でした。

徒歩ニキ:「歩かなきゃ」みたいな気分、本当に急に来るんです。

――「お腹すいた」みたいな、自然な衝動といった感じですか?

徒歩ニキ:あ、そうですそうです! それに近いと思います。どうしても無性に、長く歩きたくなる気分が降りてくる時があります。

――歩きたいからこそ旅に出ている、徒歩ニキさんらしい衝動ですね。遠くへ行くだけなら電車や新幹線でもいいはずですし。

徒歩ニキ:はい。自分の中では、乗り物で遠くへ行くのは目的地への到達が目的なので“旅行”、自分の足で、ひとりで遠くへ行くのは歩くという過程が目的なので“旅”と、どこか別物扱いなんですよね。歩いた結果、水族館へたどり着くっていうのがベストです。

――そう言えば、第1回目の江ノ島水族館から、昨年10月の青森浅虫水族館まで、これまで全ての徒歩旅における最終到達地が水族館となっているのはなぜなのでしょうか。

徒歩ニキ:単純に自分が北海道の内陸部の育ちということもあり、海に憧れがあるので水族館がもともと好きなのもあるんですけど。

――なるほど、北海道のご出身なのですね。北海道の広大な大地に延びている風景と、徒歩ニキさんの徒歩旅の原動力である「この道がどこまで続いているんだろう」という好奇心には、どこか通じるものがある気がします。

徒歩ニキ:そうかも知れません。水族館を目指す一番大きな理由としては、道が終わる先にあるものって海だなと思って。道が終わる海まで歩いて、そこにある水族館に行って旅を終えるのがなんとなく分かりやすくていいかなと。

――では最後に、今後またいつか、徒歩旅に出るご予定はありますか?

徒歩ニキ:そんな気がします。前回は青森だったので次に行くとすれば西方面、例えば九州や四国とか。あとは北陸の水族館にも行ってみたいですね。そのうちまた「歩かなきゃ」と思う日が来れば、旅に出ると思います。

徒歩ニキ:Twitter(@mj4P9O1DnJJ6Xs

菅原S(編集者、ライター)

編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。

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最終更新:2021/06/03 10:00
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