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朝日新聞社説の「五輪中止」にチラ見する菅政権の“さらなる”開催強行と“朝日の懐”事情

朝日新聞社説の「五輪中止」にチラ見する菅政権のさらなる開催強行と朝日の懐事情の画像1

「社説で正義感ぶったのだろうが、自己満足だろ。むしろ政権側は『意地でもやってやろう』という気になったよ」と、菅政権幹部が指摘するのは、朝日新聞が5月26日付けで掲載した社説だ。

「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」と題し、<人々の当然の疑問や懸念に向き合おうとせず、突き進む政府、都、五輪関係者らに対する不信と反発は広がるばかり><そもそも五輪とは何か。社会に分断を残し、万人に祝福されない祭典を強行したとき、何を得て、何を失うのか。首相はよくよく考えねばならない。>と、鋭い筆捌きを見せたのである。

「通常2本載る社説を1本分にした『一本社説』と呼ばれるもので、社の意見を強く打ち出す時に掲載します。弊社はJOC(日本オリンピック委員会)のオフィシャルパートナー(4種類のうち3番目のランク。協賛金は約60億円)となっており、その社が中止を求めるとあって、CNNなど海外メディアも大きく報じました。4月に就任した中村史郎・新社長の英断と言え、“載る”とわかった前夜から、現場の記者たちは『よくやった』と興奮していました」(朝日記者)

 ところが、朝日は言わずと知れた”反政権”の急先鋒のメディアだけに、返って政権側は「強行開催」への意欲を搔き立てられたというのだ。

 しかも朝日は社説掲載当日、ホームページでオフィシャルパートナーは続けるとの見解を掲載。結果「ダブスタ(ダブルスタンダード)だ」と批判を浴びることとなった。

 さらに、政権寄りの日本維新の会・馬場伸幸幹事長からは、6月から予選が始まる朝日主催の高校野球を念頭に「ノウハウをぜひオリンピック委員会に届けて」と嫌味を言われる始末だ。

 ただ、「これには社内事情があるんです」と解説するのは、別の朝日社員。

「大きかったのは、5月24日発売の『週刊ポスト』(小学館)による五輪スポンサーへのアンケート。今夏開催について朝日は『お答えをいたしかねます』と腰が引けた答えで、現場から総スカンをくらいました。さらに信濃毎日(5月23日付け)、西日本新聞(25日付け)が社説で相次いで『五輪中止』を打ち出したことで、”リーディングペーパー”を自称する以上、社内を収めるためにも、社説を出さざるをえなかった。確かに自己満足です」

 朝日は2021年3月期決算で、純損益が441億9400万円の赤字で、創業以来過去最悪となった。中村新社長の就任は、渡辺雅隆・前社長がその責任を取ったことが影響しているという。

「2021年1月から45歳以上を対象に希望退職者を募集。目標は100人以上で、23年度までに計300人規模としていますが、目標達成は難しそう。他社と比べれば破格の退職金が出るとはいえ、今のメディア環境は『元朝日』が通用するほど甘くない。書籍を出し、独立できそうな優秀な記者ですら、しがみついています。メディア事業の大赤字をイベントや不動産収入でカバーしている状況で、業界付き合いを考えれば、オフィシャルパートナーは抜けられないのが現実なのです」(同前)

朝日の思い切った社説が、厳しい経営状況を脱するきっかけとなれば良いのだが…。

大山ユースケ(ライター)

1990年、千葉県生まれ。某大手メディアに勤務中の複業ライター。得意ジャンルはお笑いと酒。

おおやまゆーすけ

最終更新:2021/05/31 21:00
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