「富士そば」伝説のボツメニュー「まるごとトマトそば」のその後… 幻のトマト系「珍そば」「奇そば」を振り返る!
螺旋をなしたそばを土台にして、積み重ねられた大根おろし、茄子の煮浸し、ピーマンの盛りつけは、さながら“三重塔”のよう。その頂点には、トマトの煮びたしがちょこんと添えられる。
SNS映え抜群のこの一杯は、立ち食いそばチェーン「名代 富士そば」が今年の4月に試作した「モリンガそば」。そばがうぐいす色をしているのは、栄養価が高いとされる「モリンガ葉」を生地に練り込んでいるため。健康志向のユーザーをターゲットに設定したが、「盛り付けの再現が困難」との理由から、販売には至らなかった。
モリンガ葉の発色もさることながら、とりわけ目を引くのがシンボリックなトマトの存在だ。立ち食いそばとトマト……異質な組み合わせにも映るが、富士そばではさほど珍しいことではない。筆者が知る限りでも、この7、8年の間におよそ年一ペースでトマト系メニューが開発されているのだ。
2014年には2種類のトマト系メニューが登場した。新小岩店の「肉トマトつけそば」がそのひとつ。トマトフレーバーのつけ汁にはひき肉が入っており、どこかミートスパゲティを彷彿とさせる。
もう一品は、市ヶ谷店の「冷やし肉トマトそば」。そばにはトマトペーストが豪快にぶっかけられており、つけそばとは対照的だ。どちらもコンセプトは異なるが、トマトの味わいを前面に押し出している。
「2014年は、社内でヘルシーメニューを売り出そうとしていた時期です。夏野菜を使う方向で話が進み、いくつかの候補から選ばれたのがトマトでした。抗酸化作用のある栄養素リコピンを含んでいますし、鮮やかだから見映えもいい」
そう話すのは、富士そばを運営するダイタンホールディングスの広報担当・工藤寛顕氏。自身も過去にトマト系つけそばを考案したことがある。
「つけ汁のレシピはいたってシンプル。盛りそば用のつゆとトマトジュースを混ぜただけです(笑)。手間がかからないうえに、味の印象もガラリと変わる。こうしたアレンジ用としての使いやすさもトマト系メニューが定期的に開発される理由です」
そのほか、海鮮エキスとトマトスープをかけ合わせた「トマトスープの洋風海鮮そば」や、フライドポテト、ソーセージ、カットトマトを盛りつけた「ブレーメンそば」なども。個性豊かなメニューの数々が、トマトのもつポテンシャルの高さを物語っている。
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