ベトナム人技能実習生の過酷な実態を描いた映画『海辺の彼女たち』現代日本で現実に起こる奴隷労働の実態
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貧困にあえぐ技能実習生 増えるベトナム人の犯罪
4月8日付「読売新聞」電子版の記事によると、全国の警察が2020年に摘発した来日外国人は1万1756人(前年比101人増)で、国籍別ではベトナム人が最多の4219人(35%)だった。摘発されたベトナム人を罪種別に見ると、不法残留や偽造在留カード所持などの入管難民法違反が最多の2332人で、次に窃盗犯が873人と続く。全体の約6割が不法滞在の状態で、うち1324人は技能実習生としての来日だったから、この数字だけを見ても技能実習先からの失踪がいかに多いかが分かる。
より恵まれた別の資格で来日しているベトナム人は技能実習生をどう見ているのだろうか? ITエンジニアとして来日している東京都大田区のトォーさんの在留資格は「技術・人文知識・国際業務」で、奥さんのトウインさんは「家族滞在」の資格だ。技能実習生には家族滞在は認められていない。恵まれた環境下で暮らす二人に、困窮のせいで技能実習生が犯罪に走ってしまう現況等について聞いてみた。
「技能実習生か、ないかにかかわらず、ベトナム人が罪を犯せば、『ベトナム人が悪い』と思われてしまう。実習生の犯罪動機を見ると、本当に生活に困ったがゆえに犯罪に手を染めざるえなかった場合と、もっと早く短期にお金を稼ぐために犯罪に走った人の2通りがある。特に、このコロナ禍で犯罪件数が信じられないほど多くなった。なぜベトナム人ばかりなのか。悲しくなってしまいます」とトウインさん。
2人は「日本語の勉強、常識と文化もろくに学ばせず、より多くの実習生を日本に送り込むことだけを考える悪質な仲介業者」の存在が、こうした悲劇を生み出す要因の一つだとも指摘。情況改善のための、政府のより積極的な介入を期待する。
映画『海辺の彼女たち』に登場する主人公たちも必要最低限の日本語を使いこなす程度であった。映画はそんな技能実習生たちの置かれた厳しい現実に、我々日本人を引き込んだ。そして、技能実習生に「技能実習」の実態はなく、安価で雇える、外国人の単純労働者の期限付き雇用であるのだということも知らしめてくれた。
映画は東京都中野区の「ポレポレ東中野」など全国各地の劇場で上映中だ。
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